留学のすすめ5: 留学生の生活術 (高井哲彦 Vol.5)

留学マニュアル

■教養のキャッチアップ
地道な積み上げが大切です。現地学生なら誰でも知っている「教養」を、キャッチアップしましょう。現地のエリート大学生と対等に議論できる「常識」を身につけましょう。
①毎日、新聞精読の時間を30-60分取り、その日で一番重要な記事1本をスクラップしましょう。ネットよりも紙媒体を購入しスクラップした方が、証拠が残ります。
②テレビのニュースや教養番組を毎日リアルタイムで見る習慣を作りましょう。たとえば、夕方のメインニュースや週1-2回の教養番組・報道特集です。ネットでの「ながら見」ではなく、毎日その時間に椅子に座る習慣が大切です。
③現地の大学新入生が使う『XX学研究入門』『論文の書き方』『手紙用例集』等の本を購入しましょう。友人に質問したり、大学近くの大型書店で探しましょう。現地の大学生が使うウェブサービスやポータルサイト、スペルチェックソフト等を友人に質問したり、探しましょう。
④大学図書館のデータベース(Web of Science等)をマスターしましょう。図書館オリエンテーションは必ず参加し、司書に質問しましょう。新聞・雑誌コーナーの使い方を覚え、専門や趣味に関するメディアを定期的にチェックしましょう。
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■行動半径の拡大
留学は、勉強だけのことではなく、人格形成の転機でもあります。日本にいたとき、自分はどのような情報網を持っていたかを総点検し、留学先に到着したら同様な環境を探してみましょう。言語の自由度が20%に落ちると、行動範囲や情報量まで20%に狭められがちなので、意識的に開拓し確保する行動力が必要です。
①中古品売買や講演会・イベント広報の掲示板を見つけましょう。大学内・寮内、日本人会・スーパー・教会など。
②中古テレビ、中古自転車、携帯電話は最優先で購入しましょう。他の日曜雑貨もできるだけ中古品で集めましょう。
③情報誌を入手して、コンサート・オペラ、演劇・ミュージカル、展覧会、講演会、スポーツ試合を定期的に見に行きましょう。気に入ったら、美術館通年券・オペラ通年券・地元プロスポーツチーム会員証を購入しましょう。学割もあります。
④公共図書館・スポーツジム・プールの会員証を作りましょう。大学内のスポーツ・趣味のサークルに入りましょう。自分の趣味の専門雑誌を購入し、読者欄から広告まで読み込んでみましょう。現地流行のCD/DVDを図書館や友人から借りましょう。
⑤骨董市・骨董店や古本市・古本屋・古CD屋、古着屋を回りましょう。古書・古着・食器・小物等をじっくり吟味して持ち帰るのは、長期滞在者のみの特権です。
⑥地図に印をつけながら、縁のない地下鉄駅で下りてみたり、初めての道を自転車で走ったりしましょう。近隣の郊外の村の知られざる旧跡・名所をリストアップし、週末に順々に日帰り旅行しましょう。国内旅行を優先順位をつけ計画的に実行しましょう。メジャーな観光地より、在住者以外は行けないような田舎町の方が重要です。
⑦スーパーや市場で見知らぬ食材があったら買ってみましょう。買い物20品のうち1品くらいは冒険しましょう。
⑧現地の主要料理を片端から食べてみましょう。学食メニューで、口に合わないものは、意識的にあえてそれを食べ続け、克服してみましょう。
⑨欧米なら、ワインやチーズの事典を買い、友人宅に呼ばれたときに「良いワイン・チーズを出してくれてありがとう」程度はコメントできるよう、勉強しておきましょう。
⑩貧乏学生でも、最高級レストランに一度は行ってみましょう。料理、インテリア、サービス、客層、立地と、現地でしか味わえない芸術品なので、無理をする価値があります。格安の昼食メニューもあります。
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■人間関係を広げる
①「この人ともっと仲良くなりたいな」という非日本人の友人を積極的に誘いましょう。日本食を作るのが一番のもてなしです。中華食材屋を見つけておきましょう。
②非日本人のパーティーや集まりにはマメに顔を出しましょう。「君はどう?」「日本ではどう?」などと常に聞いてくれるわけもなく、会話に参加できず「壁の華」となることは誰もが通ってきた道です。が、覚悟を決め笑顔で参加し続けることが交友を広げます。「外国人の発音は分からない」とアクセントのきついクラスメートとの交流を避けるのは間違っています。むしろ口下手同士で会話機会を増やした方が、言葉は向上します。
③日本人との付き合いは賛否両論があります。が、語学研修者や短期留学の場合、少なくとも冒頭3ヶ月間は日本語厳禁を個人的に勧めます(1年以上の長期留学は別)。日本人はいざというとき頼りになりますが、日本人とも明るく現地語で返事するように徹すれば、そういうキャラクターだとして受け入れられます。他方、自国人同士で固まる集団には、現地人が近寄る気が失せてしまいます(日・韓・中国人、南米人、南欧人等)。
④教員に名前と顔を覚えてもらいましょう。前列の席に座るのが近道です。教員に授業後やオフィスアワーに積極的にしつこく発言・質問しましょう。講義を録音するより疑問はその場で解決しましょう。泣きつくとしたら、試験直前直後では逆効果で、学期半ばの方が良いでしょう。
⑤優秀な先輩やTA、若手教員に個人的なメンターになってもらいましょう。指導教員が放任だったり相性が悪かったりするときは、副指導教員役を自分で探し出しましょう。
⑥添削を頼める複数の友人を確保しましょう。単語しか直さない人や、文章や論理自体をリライトする人、外国人から見ても文法間違いが多い人など、得手不得手を比較して添削依頼を分散しましょう。
⑦同性の言語交換を募集しましょう。何らかの動機付けがあると長続きします。日本研究学生とはWin-Win関係を築けるでしょう。また、地方出身者などのマイノリティは、留学生にも同情的で仲良くしてくれることがあります。
⑧耳学問ができる集団に所属しましょう。自分から飛び込まないと良い仲間ができません。得意なスポーツ・特技がある人はそれを活用すると、対等な交流ができます。日本人学生会などに所属するのは、日本語以外に特技がない人には近道です。
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留学のすすめ1: 留学の7つの誤解 (高井 Vol.5)
留学のすすめ2: 交換留学のすすめ (高井 Vol.5)
留学のすすめ3: 語学の学習 (高井 Vol.5)
留学のすすめ4: 留学の準備 (高井 Vol.5)
留学のすすめ5: 留学の生活術 (高井 Vol.5)
留学のすすめ6: 留学の勉強術 (高井 Vol.5)