米国 ハワイ大学マノア校 交換留学(森 新着2019)

アメリカ・オセアニア

ハワイ大学マノア校留学体験記

森 梨香子

留学先

アメリカ合衆国 ハワイ大学マノア校

期間

2019年8月16日~2019年12月20日(3年次後期)

志望理由

・同じ資本主義国であるアメリカと日本との間に、経営学の面ではどのような差異があるのかを知るため。
・日本とは異なる小規模な授業形式で、実践的な学習をしてみたかったため。
・英語圏で生活してみたかったため。
・自分の能力がどれほど通用するか確かめたかったため。

費用

留学前
航空券:往復約14万円 (札幌-ホノルル直行便 ハワイアン航空)
ビザ:約4万円
保険:約4万円

留学中
寮費:約32万円/学期
食費:約23万円(加入義務のミールプラン)+外食

留学前後のスケジュール

・1年生後期
留学を意識し、情報収集を始める。北米の大学への留学を決意。
・2年生5~9月
三度TOEFL受験するも、目標スコアには10点届かず。夏休みは英語そっちのけでバイトと旅行尽くし。
・10月
ゼミ募集が始まり、留学者が多い高井ゼミを発見。先生への留学相談、留学経験のある先輩との座談会を経て、留学への意思を確固たるものにする。図書館詰めの日々。
・11~12月
立て続けに三度TOEFL受験。募集締め切りの直前にスコアを獲得し、ハワイ大学に留学応募。
・1~2月
交換留学面接。面接官の先生からご指摘を受け、自分の詰めの甘さを痛感。なんとか学内推薦の許可をいただき、決意を改める。
・3~6月
VISAの手続きや航空券手配、ハワイ大学への履修希望科目の提出と入寮申請。予防接種(義務)のため東京の病院を受診。
・7月
VISA面接(札幌)
・8月
友人との別れを惜しみつつ遊びと準備に追われる日々。期末試験終了1週間後、ついに出発。
・12月
帰国

留学準備

・ビザ

学校が独自に作成したVISAに関するテストを受けたり、VISA申請の事前手続きが多かったりと、VISA受け取りまでに約2か月を要した。札幌のアメリカ総領事館は、面接の予約が1,2か月先になることが多いので、早め早めの準備が大切!

・保険

北大で紹介された保険に加入。ハワイ大学が斡旋している保険は、北大の5倍以上の値段で手厚すぎる保険だったので、先輩にも相談し、北大の方を選択した。

・お金

クレジットカード2枚、デビットカード1枚、現金約10万円を持って行った。ハワイはVISAカードと同様にJCBがほぼどこでも利用可能。念のため換金した現金も持って行ったが、ハワイの日常生活ではほぼ使わない100ドル札で渡され、小さなお店では100ドル札を受け付けてくれないこともあった。キャッシュレス化が進んでいるので、カード中の生活を想定して行くと良い。

・携帯電話とWi-Fi

渡航前にSIMフリー化の手続きを行い、現地では大手のプリペイドSIMカードを利用。現地の中心街にある店舗で手続きしようと計画していたものの、現地についてから、お店に向かうまでの電波のことを全く考えていなかったことに気づき、どうやってお店まで行こうかパニックになった。事前に申し込んでいた空港ピックアップに来てくれた学生にそのことを伝えると、一緒に行ってあげると言われ、手続きも手伝ってくれた。今回は幸いだったが、予め日本でSIMカードを購入したほうがよかったかもしれない。

留学中

・到着後

直行便を利用したので、新千歳空港から約7時間半でホノルルに到着。初めてのアメリカで、入国審査の複雑な手続きに緊張しながらも拙い英語で切り抜け、重いスーツケースを受け取っていざ空港の外へ。ヤシの木と暑い日差し、南国の匂いに包まれ、ハワイに来たんだと実感した。空港で私のネームプレートを持った学生2人を発見し、無事目的地まで送ってもらうことに。TOEFLの勉強はしていたものの、日常会話の練習を全くしていなかった私は、車内で矢継ぎ早に飛んでくる質問にうまく答えられず、絞り出した英語でなんとか返答していた。しかし、迎えに来てくれた二人はとても親切で、前述の携帯会社での手続きに加え、暑いからとコーヒーをご馳走してくれたり、自炊に必要な食材を買いに連れて行ってくれたりした。緊張と不安でいっぱいだったが、アメリカ(ハワイ)の人びとの気遣いと温かさを感じ、胸が熱くなった。その後、入寮までの約1週間は学校に程近いユースホステルに滞在し、オリエンテーションや必要手続きを行いながら、ゆったりと過ごしていた。自明ではあったが、日本人の学生が尋常ではなく多い。初めのうちは情報収集と安心感を求めて日本人で固まって行動することが多かったが、依存することはなく、授業が始まってからはそれぞれの新しいコミュニティで生活していた。

・現地生活

大学はホノルルにあり、市街地へはバスで20分程度の好立地であった。物価は日本の約2倍ととても高かったが、日系ブランドやスーパーやとても多く、暮らしに不便はなかった。観光客が多い市街地ではひったくり被害が多かったようだが、通常の危機管理ができれば危険な目に合うことはまず無い。8, 9月は毎日30度越えで、夜も扇風機が必要なくらい暑かったが、10月以降は朝晩涼しくなることが多かった。常夏のハワイには不要かと思い、羽織れる長袖を2枚しか持って行かなかったのだが、室内は凍えるほどクーラーが効いていたので、温度調節が可能な服を多めに持って行ったほうが良い。また、ちょうど雨季にあたる時期だったため、突然雨が降り出すことがよくあった。折り畳み傘のような、性能・価格ともに良いものは日本から持って行ったほうが思わぬ出費にならずに済む。

・住居

私の留学生活は、学内寮に一番思い出があるかもしれない。二人部屋のルームメイトは韓国人で、最後まで喧嘩することなく、週末も一緒に出掛けたりして楽しい生活を送ることができた。問題は、寮本体である。築50年以上、エレベーター無し4階建ての最上階の部屋が充てられた私は、入寮時に20㎏以上のキャリーケースを運びながら、4か月耐えられないかもしれないと思った。なぜなら、階段横の窓には私が大嫌いな虫やトカゲ、ゴキブリがうじゃうじゃいたからだ。エアコンが設置されていない寮だったので、24時間窓を開けておく必要があったのだが、そのため、網戸の隙間から生物が部屋に侵入してくるのだ。最初は部屋中に防虫剤を巻いて騒いでいたが、1か月も経てば良くも悪くも自然に生きるといった感じで、共存するようになった。もう一つは、同階に住むパリピの存在だ。ハワイは飲酒の規則が厳しく、多くの薬物も違法だったのだが、明らかに夜な夜なそれらに浸っている人たちがいた。責任者に相談しても、対応のしようがないと言われ、我慢するしかないと諦めた。深夜に叫び声が聞こえたり、開け放った窓から匂いが入ってきたりと、一抹の不安も覚えたが、昼間にすれ違えばいい人たちであることは間違いなく、なんとかうまくやっていた。

・食事

入寮者はミールプランに加入することが義務付けられていて、私は週に10回ブッフェ形式の食事をとれるものを選択した。アメリカらしい豪快な肉料理が多かったが、米や各国料理が出ることも多かった。ただし、寮や主な教室から遠い場所にあって不便だったため、後半はお弁当を買うか、カフェに行くことが多かった。
週末は専ら外食をしていたのだが、驚いたのはチップの文化である。最低でも15%で、ランチは1500円以上、ディナーともなると2500円以上支払う必要があった。寮のキッチンが衛生的に良くなかったので自炊はしなかったが、物価が高いので自炊でもさほど節約はできないようで、食費を抑えるのは難しいと感じた。

ハワイ大学マノア校について

キャンパスは、北大のように自然いっぱい広大な敷地にある。オアフ島を走る路線バスは大学構内にも停留し、学生証を見せると無料で乗り放題なので、とても便利だった。
学内には図書館が二つあり、一つは飲食・対話可能、もう一つは集中して学習というように用途が分かれていた。期末試験の期間には、図書館が24時間開放され、無料で軽食をくれたので、お祭り気分を味わいながら勉強することができた。
留学生へのサポートという面でもとても良い学校である。学習、生活、事務、すべてに対して問い合わせ口があり、アシスタントと呼ばれる学生アルバイトがとても親切だった。渡航前に何度もメールで問い合わせをしたが、数時間で返信をくれたのですぐに解決でき、留学生に優しい学校という印象をもった。

授業

<内容>

・Fundamentals of Entrepreneurship …MGT320
前半の講義ではレクチャーと授業内ディスカッションを中心に知識を得て、後半では実際にビジネスプランをたてるという実践的な内容。ケーススタディを中心に、様々な角度から起業家について学んだ。課題は授業毎に出され、数十ページの資料を読んだり、マーケティングリサーチをするなど、最も大変な授業だった。課題の一つに、ハワイの起業家にインタビューするというものがあり、そこでさらなる理解を深められ、とても良い経験になった。二度のプレゼンテーションや十数枚の最終レポートも、教授や生徒から鋭い質問があったものの、チームメイトと協力して乗り切ることができた。

・Global Management and Organizational Behavior …BUS315
国際経営と組織行動について、現行のアメリカの法律や慣習にふれながら、学習した。授業内ディスカッションとグループワークが中心で、テキスト一章分の要約とビジネスプランについてのプレゼンテーションも課された。一人7~10分という長い時間だったが、メンバーが練習に付き合ってくれたおかげで、無事に終えることができた。試験がない代わりに授業での発言が重視されたので、とてもハードだったが、発言するとみんな注意深く聞いてくれたので、少しずつではあるが発言できるようになった。

・Hawaiian Studies …HWST107
日本との歴史やアメリカとの関係性など、ハワイの歴史を中心に様々な知識を得ることができた。ネイティブの教授だったが、中立的な立場から、他国との関係性や歴史について解説してくれたので、とてもためになった。三度のボランティア参加をしないと好成績をとれない仕組みになっていたのには少々不満が残るが、講演や美術館訪問に参加する加点課題など、救済措置をたくさん行ってくれる授業だった。これらを通して、授業外でも様々な知識を得ることができた。成績評価は、ビデオに関するクイズや要約、三度の中間試験など様々だった。

・Writing …ELI70
ネイティブの先生が、エッセイやレポートの添削をしてくれる授業。文章の構造から、引用などアカデミックな論文の書き方まで様々なライティングの技術を学んだ。毎週の宿題に加えて、十枚以上のライティングを三度書く必要があり、専門科目が忙しい時期にはとても大変だったが、文章を書くことに抵抗がなくなった。数十枚のレポートを書く自信がなかったので選択したが、今後にも役立つ授業で、履修してよかったと思う。

・Speaking&Listening …ESL100
ビジネス専攻の生徒ならば履修したほうが良いと言われ、悩みながらも履修を決めた授業。これまでに、プレゼンテーションのやり方を学んだことがなかったが、基礎的な構造やテクニックなどを学び、専門科目での発表も自信をもって行うことができた。ただし、あまり必要としていなかったリスニングがセットの授業だったので、時間を取られた授業という印象があったのも事実で、北大で開講されている授業で予め対策してから留学に臨んだ方がよかったと思う。

まとめ

この留学で、精神力と課題解決力が向上し、学習に対する姿勢が変化した。初めての長期留学、初めての英語圏ということで、自分の力を試してみたいと意気込んでいったものの、すぐに感じた力不足と通じない英語。不安と悔しさで泣いていた日々。完全に打ちのめされて、なにしに来たんだろうと、日本に思いを馳せては、もうやめたい、早く帰りたいと思ったこともあった。しかし、現実は甘くない。授業に行けば宿題は出るし、課題の終わりは次の課題の始まりでもある。やるしかない、後悔だけはしたくないと思い、今やるべきことに没頭しようと決めた。はじめは何度も終わらないレポートとともに朝を迎えていたが、自分なりのリズムをつかめばこちらのもの。平日は課題漬けの分、休日は目一杯遊ぶ。そうやって、勉強も息抜きも妥協せず楽しい日々を送ることができた。また、専門科目の授業はどれも新鮮な内容で、もっと経営学を勉強したいと思うようになった。自分のやりたいことが見つかり、今後の学習の動機付けにもなった。
そして、留学というものを通して感じたのは、たくさんの人に支えられているということだ。準備期間から、家族や友人が応援してくれ、先生や先輩方が相談にのってくださったおかげで、留学の夢をかなえることができた。留学中、辛かった時期には、ルームメイトや同じ授業を受けている学生が励ましてくれて、また頑張ろうと思うことができた。留学しているのは自分自身だが、一人で生きているわけではない。なんでも抱え込もうとせず、時には周りの人を頼り、支えあうことが大切なのだと実感した。次学期は二段階留学が控えているので、その際にも、人とのつながりを大切に、感謝の気持ちを持ちながら、勉学・生活ともに充実させたい。


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