スウェーデン ウメオ大学 交換留学 (池永 新着2015)

ヨーロッパ

スウェーデン ウメオ大学 留学報告
経済学部経済学科 池永隼人

二段階留学

第一段階 スウェーデン ウメオ大学 交換留学

第二段階 台湾 国立台湾大学 交換留学

期間

2015年1月18日〜6月19日

費用

海外保険 8万
航空券  7万
生活費 月約6万
家賃  月約4万(暖房、共益費込)

志望動機

・ 語学力、発言力の向上
・ 各国から来る多様な人々との生活

スケジュール例

土、日
午前 授業 授業 授業 授業 授業 パーティ(主に土)

ディナー

買い物

グループワーク

勉強

IKSU

午後 グループワーク グループワーク グループワーク
課題、勉強

IKSU

ディナー

IKSU

課題、勉強 パーティ/

インターナショナルディナー

(IKSUは後述する学内のスポーツセンターの事)

受講していた授業

・ Financial Accounting
・ Foundation of Finance
・ Leadership, Negotiation and Decision Making
・ Analysis of Business Culture
・ Swedish for International StudentsⅠ

はじめに

留学を考え始めたのは大学入学してから一年も経たないうちだった。もちろん明確な目的や将来設計など伴った物ではなく、ただぼんやりと英語力を伸ばしたい、北米やイギリスに行けたらいいなあというものだった。一年の後期あたりには国際本部へと足を運んでみて、英米に行くにはTOEFL iBT (イギリスであればIELTS)テストのスコアが必要になること、一年以上前から準備し手続きを進めて行かなければ行けない事などを知り途方に暮れたことを覚えている。このアバウトな願望が初めて形になったのは、2年生の夏休み時に行ったアメリカ・ポートランドへの短期プログラムへの参加である。このプログラム自体も友人から誘われて存在を知り参加した物で、これも自発的に行動して見つけ出した物とは言えなかった。アメリカで一ヶ月滞在し、今までは旅行でしか行った事のなかった異国の地で「生活」することにより味わえる文化や現地大学の雰囲気(このプログラム自体は夏休みに行われ、特別なプログラムが組まれた日本人向けの授業であったため、現地の本物の授業を体感した訳ではないが)を体感し、かつ自信の英語力の絶望的な低さに打ちのめされた事で、英語学習と交換留学へのモチベーションが一気に高まったと思う。帰国後から本格的に交換留学を検討し、TOEFL iBTテスト等も受け始めたが、予想以上のTOEFLの伸びの悪さで申請期限までにスコアが満たせない等の理由で英国行きを断念せざるを得なくなった中で、高井先生に北欧行きの選択肢を提示して頂いた。その中でウメオ大学は去年に提携を開始したばかりで北大からはまだ誰も行っていない事、欧州留学生満足度第一位に選ばれる程人気が高く、各国から非常に多くの留学生が集まる大学である事等を伝えられる。留学に行く前の自分にとって、北大から誰も行った事の無い未開の地であり、おそらく日本人もほとんどいないであろう事、都市部から遠く離れた田舎で街も小さく娯楽も少ないだろうという事は、初めて留学で異国で勉強するにあたって願っても無い条件だろうと考え、ウメオ大学を志望する事にした。
留学手続きをするにあたってはじめの段階から多大な手助けをして頂いた高井先生、ウメオ滞在中のお話を聞かせて頂いた町野先生には誠に感謝申し上げます。

留学前

留学準備で一番面倒だったのは居住許可申請だった。スウェーデンには日本人の留学の場合、オンラインで申請するResidence permitの所得が入国、生活するのに必要になるが、申請時に海外保険の証明書、銀行の残高証明書など複数書類のアップロードが必要。僕の場合は申請してからわりとすぐに許可通知が来たが、時期によっては時間がかかる場合もあるようなので注意が必要。ちなみに海外保険は北大生協で申し込める東京海上日動を使用した。

到着時

事前に到着日の指定(強制ではない)があるが空港でのピックアップ等はない。バスまたはタクシーで大学まで移動する事になるが、ウメオは小さい空港でストックホルムからの便もさほど多くはないので同じ便に留学生が大量におり、タクシーで一緒に向かう人を見つける事が容易に出来る。大学のUniversumというインフォメーションセンターに向かい、名前を申告した後は住居の説明があり、終了後にタクシーにて各個人の家まで送迎してくれる。

生活

・ 住居

住居は大学のエリアに散らばる個人部屋に共同キッチン付きの部屋である。大半がウメオ大学の学生だが、地元の働く人も住んでいる。留学のアプリケーション時に部屋も選ぶ事になるが、なかなかどこがいいかは分かりにくかった。各々のエリアに学校から近い、棟が新しくてきれい、街に近いなどの長所と短所がある。僕の住んだPedaggogrand という住居群はAlidehemというウメオ大学の生徒が最も住むエリアに位置し、スーパーがすぐ近くにあり学校からも15分くらいと遠くないのでよい所だったと思う。

[住んでいたPedaggogrand]

[住んでいたPedaggogrand]

・ 食生活

レストランや学食で売っているサンドウィッチでさえかなり高い値段がするので、基本的には自炊して生活する。食材の調達という意味でも、ICAとLIDLというスーパーにすぐ行けるAlidehemエリアはオススメ。ジャガイモや玉ねぎ等一部の食材は税金がかけられていないため非常に安く買える。冷凍食品も豊富。Pedaggograndにはチャイニーズマーケットもあり、意外に食材は何でも手に入る。シティーセンターに日本人の経営する日本食のレストランもあり、そこでいくつか日本の物を手に入れる事も可能。

・ カード

北欧ではクレジットカードに寄る支払いが非常にポピュラーであり、サンドイッチ一個買うのにもクレジットカードで支払ったりする。そのためカードは生命線であり持っていく事は必須である。僕は現金引き出しようにVISAデビットカード、クレジットカードを一枚、どちらも楽天の物を使用していたが、サブのカードを用意した方が良いかもしれない。また楽天カードはたまに読み取られない事もあったので(楽天のせいかどうかは不明)、三菱UFJなどメガバンクのカードを用意した行った方が安全かも。ICAではクレジットカードを使ってのセルフレジ等もあり非常に便利。

・ 生活

ウメオはスウェーデン中、北部では最大の都市と言われるが、やはり街自体は小さい。大学のエリアから歩いて15分程のところにVasaplanと呼ばれる街の中心部があるが、日曜日は夕方以降ほとんど人もいなくなるような場所だ。それでもクラブやバー等は大学周辺も含め多数あり、ショッピングセンターや遊ぶ場所もそれなりにある。中心部のすぐ横に川が流れており夏はとても気持ちいい。

[ダウンタウン]

[ダウンタウン]

スウェーデンではどこでも共通だがFikaというお茶またはコーヒータイムをとる文化がある。お菓子やケーキとともにアフタヌーンティーをしようというもので、ケーキ作り等も含めたこの時間は生活の中の娯楽の中心でありかなり頻繁に行われた。後述する授業の仕組みからも一日中授業があるという事はほとんどなく、午前中授業に行った後お昼ご飯とFikaをする、というような生活が多かった。またヨーロッパではポピュラーなスタイルであると思うが、週末金曜日、土曜日の夜にパーティを開き、その後ダウンタウンのクラブに行く、というのが週末の形であった。ただ特にアジア人はクラブで楽しむ事に慣れないため、自分を含めあまり行く人は多くなかった。

広い大学の敷地内にIKSUと呼ばれる巨大なスポーツセンターがあり、ウメオ大学の関係者はもちろん町に住む人の多くがここの会員になりジムに通っている。設備はトレーニング設備からプール、各競技のコート、ボルダリング設備等もあり、エクササイズからヨガまで多種多彩なプログラムも用意されている。雪の影響で屋内競技が盛んなこともあり、このIKSUもまた生活の一部と言える物だった。

[IKSU]

[IKSU]

授業

スウェーデン全国、また全学部共通かどうかは定かではないが、基本的に一学期が四つのタームに別れており、1タームに1つ授業を受講するというスタイル。1タームはだいたい1ヶ月。そのため午前中心の授業ならば午後はフリーまたはグループワーク、という日が多かった。授業レベルはA→B→C→Dの順で難易度が上がり、C、Dはマスターの生徒も多い。ちなみに授業はすべて英語で受講した。

1 Financial Accounting B

財務会計の授業。授業ではBalance SheetやIncome Statement 等基本的な要素と書き方を学び、グループワークでは企業を1つ取り上げAnnual Reportから財務分析をして報告する、という物だった。期末試験とグループワークの点数で評価が決まる。また講義とは別に問題演習やパソコンを使うworkshopの日もあった。日本で簿記の授業をとっていれば内容的にはさほど難しくはない授業だと思うが、簿記を避け続けてきた僕にとっては少し辛い授業だった。先生はとても優しい人。

2 Foundation of Finance

財政の授業。テストは計算が中心。PHDの先生2人が受け持つ授業で、講義と問題演習のworkshop、それにグループワークという構成。 教科書前半はひたすら読んで計算の練習をすれば分かるようになるが、後半からは日本語でも何を言っているのかよく分からないような内容になっていた。グループワークは、与えられた企業のケーススタディーをグループごとに分析、計算して答えを出すというもの。授業をあまり受け持った事が無いPHD生だったからなのか、特に後半の先生の授業の分かりにくさには生徒から不満が頻発していた。

3 Leadership, Negotiation and Decision Making

1,2の授業とはレベルが代わり大学院生と合同の授業になる。内容も会計ではなく、その名の通りリーダーシップ、交渉、意思決定について講義を受ける授業。北大で受けた企業論に内容は近いイメージだった。授業は講義、ディスカッションなどのワークショップ、期末試験の構成。個人の課題量がそれなりにあり、またディスカッションで全然発言する事が出来なかった僕には追加レポートまで課されるという悲劇があった。ただ先生はとてもナイスガイで、日本からの生徒は初めてだとなぜか喜んでいた。

4 Analysis of Business Culture

3の授業と同じ先生の受け持ちの授業。各国の企業文化についての講義。講義、グループワークとそれに伴うプレゼンテーション、レポート、ディスカッションのワークショップ、期末試験の構成。4つの授業の中でこれが一番課題量が多くグループワークもしんどい内容であった。一方でほぼ国際生で構成される授業のため、グループも世界中津々浦々から来る学生で組まれ、議論の時はそれぞれの生徒の特徴が色濃く出ていたため内容はしんどいがとても興味深い時間が過ごせたと思う。受講した4つの中で一番面白い授業だった。講義にはゲストティーチャーによる講演の回もあった。先生は相変わらずのナイスガイ。

旅行

授業のスケジュールから学期内にあまり時間がなく、学期終了後はすぐ帰国したためにあまりヨーロッパを回る旅行はできなかったが、イースターホリデーなどに時間を見つける事が出来たのでそれらの旅行を紹介する。なお宿泊を伴う旅行の際は高井先生への事前報告は必須である。

① ヨクモック日帰り旅行

大学がオファーしていたバスで行く日帰り旅行。ヨクモックは北部ラップランドに位置する村で、スウェーデンの先住民族サーミの博物館などがある。この日は400年以上続く年に一度のヨクモック・ウインター・マーケットの開催日で、様々な出典があるほかシカぞりレースなども開催されていた。ただあまりにも寒すぎた。

② キルナ旅行(3月中旬、三泊四日)

たまたま授業が入っていなかった金、月曜日と間の土日を使った三泊四日で、スウェーデンを訪れていた友人とスウェーデンの最北部キルナへ旅行した。キルナへはウメオから電車で七、八時間程度、またストックホルムからバスも出ている。キルナは犬ぞりなど色々なアクティビティーがあるが単価は高い。アイスホテル、電車でさらに一時間くらいの場所にあるアビスコ国家公園はオススメ。最大の目的であるオーロラ観測は現地の天気とオーロラの強度に寄るが、僕が行った時は幸運にも三日間とも観る事が出来た。時期に寄っては一週間滞在しても観測できない、という場合もあるらしいので、天気予報はチェンクしておくべき。

③ ロンドン旅行(四月初めのイースター期間、四泊五日)

ヨーロッパのイースターホリデー期間を利用しかねてからの念願であったイギリスへ一人で旅行してきた。この時は五日間、実質4日しかなかったためロンドン以外の場所へ行く事は出来なかった。スウェーデンは大概物価のたかい国であるが、ロンドンは輪をかけて高く、フィッシュアンドチップスですら8ポンド、当時のレートで1500円程もかかる場所であった。数ある博物館は基本無料で入館できるため博物館巡りをするのはオススメ。観る物、歩く場所、体験してみる娯楽などいくらでも物に溢れているので、テーマを決めて街を巡るのが良いと感じる。

留学を終えての所感

行く前からある程度予想はしていた通り、ウメオは大きくない街でありやる事が多い場所ではない。冬は札幌を超える寒さで日があっという間に沈み、夏は一日中明るいといった極端な季節を持つ国である。僕が到着した1月半ばも相当日が短かったが、ピークの12月下旬などは昼三時頃には暗くなるという世界で、必然的に部屋にこもる時間も長くなり、鬱にもなりやすい場所だ。一方で夏は暗い時間がない、いわば半白夜であるために、明るいと眠りにつけないと行った人にとっては地獄のような場所であろう。これからウメオ、またはスウェーデンへの留学を考えている人には、これら気候の特徴をまずは考慮してほしいと思う。また物は多くないため生活もある程度ルーティーン化される時期がある、例えば、午前授業にいく→お昼ご飯、Fika→IKSU→夕飯、といった具合の日々が続く事もあった。自分の時間も多いため、刺激ある、意味のある留学にするかは自分次第、というのがよく現れる場所であると思う。部屋にこもりすぎず、寒さを恐れず積極的に行動を起こす事が肝心。図書館は充実しており時間も多いため、腰を落ち着けて勉強するにも良い環境である。授業も経済、経営の専門科目だけでなく、社会科学系など様々な授業をとる事も可能なので、色々考慮に入れてほしい。僕自身は気候は全く気にならず、スウェーデンのいわばスローライフを存分に楽しめた。

ウメオのオススメ

・ オーロラ観測

ウメオは一応北部に位置しているので、キルナほど強くないにせよオーロラを度々観測する事が出来る。大学のエリアにあるニダラ湖という場所から観るのがオススメ。写真を撮りたいなら一眼レフ&三脚は必須!シャッタースピードを極限まで遅くしてとるため手ぶれが反映されてしまうため、特に三脚は絶対に必要。スウェーデンは何でも高いので日本から持っていくと良い。

・ ICAMAX

ウメオ最大の観光スポットと噂のICAMAX。中身はスパーマーケットICAの巨大バージョンというだけで、コストコのようなイメージ。自炊をしていると買い物をするのが楽しい。以上。

・ Systenbolaget

スウェーデンではお酒の販売を政府が管轄しており、一般的なお酒はすべてこのSystembolagetといいうお店でしか販売していない。ICAなどにもビールは売っているがすべてアルコール度数3.5%以下の物。従ってパーティの前などお酒が必要な時はここに買いにくる。もちろん安くはないが世界中のお酒が豊富に取り揃えてあるので、お酒好きの人にはお勧め。日曜日は閉店し土曜日も早くしまるので、週末にお酒が必要な時は計画的に買いにいく必要あり。

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