アメリカ オレゴン大学 交換留学(珍名 新着2018)

アメリカ・オセアニア

オレゴン大学留学体験記

経済学部経営学科4年 珍名伸明

留学先

オレゴン大学(米国、オレゴン州ユージーン)

期間

2018年9月~12月(4年後期)

三段階留学

第一段階 フランス パリ政治学院 2017年8月~2017年12月

第二段階 台湾 国立台湾大学 2018年2月~7月

第三段階 アメリカ オレゴン大学 2018年9月~12月

留学動機

・3段階交換留学最後となる北米圏での経験
・現在のアメリカで最も勢いがある西海岸地域での経験
・アメリカの金融システムへの関心
・リベラルの最先端の地域への関心
・ボストンキャリアフォーラムへの参加

費用

・米国J1ビザ(交換交流者向けビザ)の申請費:4万円(内訳:ESTA登録費2万+ビザ2万)、また札幌でも申請できるが、混雑時は東京のアメリカ大使館での申請が必要になるため、追加で交通費がかかる可能性も。
・航空券:往復16万円(アメリカン航空利用、新千歳発成田経由)
・保険:1ターム10万円(学研災付帯海学ではなく、オレゴン大学保健センターが提供する医療保険。基本的には学生全員こちらの保険に加入する必要あり)
・住宅:月8万ほど。(AirBnBを利用、キャンパス外)
・食費:月3~4万ほど。(自炊)
・ボストンキャリアフォーラム参加費:航空券往復5万+ホステル4泊3万+市内食費交通費など2万=10万円

おおまかな一週間のスケジュール

土日


Money&
Banking
Money&
Banking
トレーニング


ウエイト
トレーニング
Media
Profession
ウエイト
トレーニング
Media
Profession
勉強 就活&
勉強

Issues of
Development
Econ.
Issues of
Development
Econ.
遊び

履修授業

1. EC370 Money and Banking

ファイナンスの基礎から、銀行の資産運用方法、また米国連邦準備システムの基本までカバーした授業。授業の内容、教科書の内容の充実度は良いものだと感じたが、最初から最後まで博士課程の学生が教授の補助なしに授業を担当しており、時折学生の質問に満足に答えられていない場面が散見され、不満が残る部分もあった。

2. EC390 Issues of Development Economics

マルサスの人口論や、ソローモデルなど開発経済学の基礎から、現代のFDI等途上国支援策の問題点まで扱った授業。オレゴン大学で履修した中では最も好きな授業であった。

3. J100 Media Profession

ジャーナリズムの授業の中で唯一履修できるものであったため履修し、ジャーナリズムの基礎に関する授業を期待したが、内容的には卒業生であったり、在学中の学生によるキャリア論であり、ジャーナリズムに触れている要素は全く見当たらなく、履修して後悔してしまった。

4. PEW211 Weight Training(ウエイトトレーニング)

大学のトレーニングセンターで開講されるウエイトトレーニングの授業。まるで米軍の鬼教官のような風貌のマッチョなインストラクターによるトレーニング指導を受けられる。デッドリフトのフォーム指導などが行われる一方で、効果なトレーニングのためのウエイトの調整、また回数の調整についての指導もあり、履修してよかったと思えるものであった。

留学のスケジュール

2016年10月 3段階交換留学を考え始め、とりあえず1段階目であるパリ政治学院への申請を行う。
2017年10月 パリ政治学院への留学中に、オレゴン大学への申請を行う。
2018年1月 フランスより帰国し、国立台湾大学への留学直前に交換留学面接を受ける。
2018年8月 東京の米国大使館にてビザ申請
2018年9月 留学出発
2018年11月 ボストンキャリアフォーラム参加
2018年12月 留学終了、帰国。

留学準備の詳細

ビザについて

ビザはオレゴン大学からのアドミッションレターと同梱されているDS2019というフォームを用いて申請した。まずESTAにて登録を行い、登録料として2万円ほどを徴収された。その後大使館のウェブサイトにて基本情報の入力とビザ面接の予約を申し込み、当日現地に行って申請完了という流れになった。私は多段階留学であり、国立台湾大学帰国直後で申請期間があまり長くなかったために、予約が取りやすい東京の米国大使館での申請となったが、時間が十分にある方は札幌の領事館での申請の方が交通費もかからず楽だと思われる。なお予約は基本的にひと月先もほとんど埋まっているのが普通であるため、早め早めに準備を行うことが重要だと思う。

保険について

オレゴン大学では、基本的に大学が提供する独自の医療保険への加入を求められ、北大から加入できる学研災付帯海学では保証金額が不十分であると指摘されると聞く。したがって私もオレゴン大学側の医療保険に加入した。支払いはELMSのような学内情報システム上の支払ページから行い、主にクレジットカードで支払う。米国の銀行口座を開設していると口座振替等でも支払えるようである。値段は1ターム800ドルほどで、付帯海学より高額である。

予防接種について

医療保険に加え、オレゴン大学では入学前に指定疾患への予防接種を完了していることが求められ、医師による接種認定書の提出が必須である。また日本の幼少期に受ける必須予防接種でもカバーできていない疾患が多く、基本的には出発前に自費で接種することが必要そうである。具体的には髄膜炎菌ワクチンやおたふく風邪、複合ワクチンのTdapなど、時には札幌で接種できないものもあり、その際にはまた東京で接種を受けるしかない。私は西新橋の「渡航医学センター 西新橋クリニック」(www.tramedic.com)にて接種を受け、迅速に診断書も発行してもらえた。接種が必要な方はぜひ利用してほしい。

クレジットカードについて

実は、今回の留学中には、初めてとなるデビットカードのスキミング被害にあった。原因は今だ不明であるが、ある日毎日の日課でクレジットカードの利用履歴をチェックしていたところ、昨晩夜の履歴に不可解な動きを見つけ、すぐさまカード会社(三菱UFJデビットカード)に連絡し、カードの停止を行った。被害額は10万ほどで、連続で13回ほど少額の引き落としが行われていた。カード会社に調べてもらったところ、利用先はiTunesであり、おそらくアプリ内の課金等に使われていたのだと思われる。後にAppleのサポートに連絡し、第三者による私のカードの利用が発覚したため、一週間ほどで返金が行われ、事なきを得た。結局今回の被害で心配なのが、根本的な予防策が見当たらないことであり、日常的に利用履歴をチェックし、被害にすぐさま気づく対処療法的な対策しか取れないと思われる。ぜひ今後アメリカに限らず海外に留学する後輩たちには、最低でも3枚以上のクレジットカードの用意と日常的な利用履歴チェックを心掛けてほしい。

住居

今回私は、三か月という短い期間であることと、学生寮が学食のミールプラン付きとはいえ、3人シェアで月10万円を下らないという高額さを考慮すると、学外での住居を検討すべきと考え、結局契約のしやすさからAirBnBを利用した。ご存知の方がほとんどだと思うが、ハウスシェアリングサービスであり、形態としてはホームステイをアプリが仲介するといった形になる。結果広い一人部屋とシェアのキッチンを手に入れ、月650ドル程度で済ますことができた。

携帯電話とWi-Fi

携帯電話はSIMフリーの携帯を日本から持ち込み、SIMカードのみを契約することによって使用した。利用した通信会社はT-Mobileで、5GB通話付きで月50ドルほどであった。
Wi-Fiについては、家ではホストの電波を借り、学校では学校常設のWi-Fi回線を用いた。基本的にキャンパス屋内ではどこでもつながるため不満はなかった。

ボストンキャリアフォーラムについて

おそらくこの留学体験記をご覧の方々で多くが気になる項目といえば、このボストンキャリアフォーラムだと思われる。今回時期と西海岸ではあるもののアメリカという場所が重なり、せっかくの機会ということで参加してみたというのが、参加の経緯だった。

概要

2018年11月9日(金)~11日(日)
@Boston Hynes Convention Center

事前準備

ボストンキャリアフォーラムでは、企業へのエントリーを7、8月頃から受け付けており、ほとんどの企業は、Skype等のソフトを利用した事前面接によって、当日の面接枠の殆どを事前に埋める。また面接枠の多くは早いもの勝ちであり、早く応募すればするほど有利である。したがって早めの準備が何よりも大切である。ES対策、WEBテスト対策は7月には完了させておくべきだと思う。

宿、飛行機など交通事情

オレゴン州からだったので、ボストンまでは飛行機乗り継ぎで10時間ほどもかかる。また往復で5、6万も飛行機代はかかった。宿代に関しても、最安でホステルを予約して1泊平均6,000円程度である。私はHostel International Bostonを利用し、4泊で3万程度であり、他の宿に比べて格段に安かったものの、朝食付きで、アイロンなどの設備は整っており、会場から近く快適であった。ちなみにシングルルームのホテルを予約すると一泊で2万近くは取られるようである。

当日

事前面接である程度選考を通過していたおかげで、初日は数件ほど面接の予約が入っていた。実はボストン入りした木曜夜には、企業とのディナーもあった。1日目朝、起床すると開場の9時には間に合うようにホステルを出て、会場入りした。それからは怒涛のタイムスケジュールで、一部では当日中に二次面接を行うといった旨の連絡が来るなどで時間が空くことはなかった。2日目、3日目は初日ほどではないものの、選考はもれなくあった。

まとめ

私のボストンキャリアフォーラムの結果はここでは伏せるが、私が感じたのは、間違いなく私は交換留学生であるがゆえに、このイベントのメインの対象である正規留学生に比べ、相対的に不利な就活をしているということだ。実際私も多くの企業で書類段階にて落とされることが多かった。学校のレベルにもよるが、正規留学生がメインターゲットのイベントであるために、参加していたトップの企業の内定枠は彼ら彼女らが独占するのは当然の事であろう。ゆえに、今回芳しくない結果だったからといって日本選考でも同様であるとは私は思わず、留学経験からむしろ相対的に有利に進められるのではないだろうか。したがって、ボストンキャリアフォーラムを日本の就活と同列に考えるべきではなく、あくまで“力試し”程度に捉えるのが適切だと私は考える。以後参加を予定している後輩にはぜひ参考にしてほしい。

現地生活

オレゴン大学のキャンパスは北大ほどではないものの、広く、様々な学部棟があり、勉強できるスペースも多かった。中でも私はEMUと呼ばれるカフェテリアやサークル活動ルームが併設された施設に行くことが多く、そこで勉強をよくしていた。正直娯楽は少なく、多くの学生は21歳以下でアメリカの法律だと飲酒ができないためか、パーティ等の開催も少なかったと思う。“Coffee Hour”というInternational Student Organizationが主催する立食パーティは毎週金曜日にあった。他はレクリエーションセンターでスポーツや、フィットネスをすることが学生には人気であった。またアメリカンフットボールの試合を観に行くのが地元の方々には人気のようであった。私はよく暇になるとレクリエーションセンターで筋トレをしていた。このレクリエーションセンターは大学がナイキからの支援を多大に受けているために、非常に立派なつくりとなっており、器具はピカピカで敷地もとても広い。
オレゴン大学での現地生活は、上記のように非常に質素であり、またボストンキャリアフォーラムの準備が非常に多いことや、勉強もあり、前2つの留学先のような派手さは全くない生活となった。友達沢山と騒いで仲良くなる経験が欲しい方には物足りなく感じてしまうと思われるため、そういった方には大都市への留学をおすすめしたい。

大学のアメフトチームであるOregon Ducksの試合になると地元の人はスタジアムに殺到する。みな阪神ファンのような熱狂ぶり。

3段階留学を振り返って

各大学のまとめ

まず初めに留学したパリ政治学院では、一番勉強のレベルが厳しかったのもあり、周囲の友人に恵まれたこともあり、非常に内容の濃い留学生活を送ることができた。ここでは忍耐力、プレゼンテーション能力などを特に上げることができたように思う。大学の長所としては、パリという国際都市の利便性、学問的レベルの高さ、インターナショナルの学生が多いこと、オリエンテーションが充実していることから友人を作りやすいことがあると思う。

つぎの二段階目の国立台湾大学では、前の留学で習得したプレゼンテーション能力が功をなし、具体的に成績で現れるまでに成長を実感できた留学であった。また現地の方々が非常に親切であり、生活費も安く、友人も沢山つくれたため、非常に満足度の高い留学だったように感じる。この大学の長所はなんといっても、その“コスパ”の高さだと思う。学問のレベル、大都市である利便性、料理のおいしさなど、どれをとっても一級であるのに、非常に低価格で生活できてしまう。

最後である三段階目のオレゴン大学では、ボストンキャリアフォーラム参加による就活の負担から、前二つに比べて楽しそうな留学ではなくなってしまった感があるが、元々一番行きたいと思っていたアメリカの大学の雰囲気を知ることができた点でも、私にとっては大きな成果だった。オレゴン大の特徴であるスポーツ関連の専攻ではなかなかないクオリティの設備と授業を展開しているものと思われる。私はこの留学では特に英語のコミュニケーション能力で大きな成長があったと感じている。また、冒頭の留学の動機に記載されているアメリカ金融システムへの関心という点、またリベラルの現実についても、おおむね満足ある学びを得ることができたと感じる。しかし、就活を抜きにしても、正直な感想を述べると、3大学のうちで一番“つまらない”と感じてしまったのだが、そう感じてしまった理由には、学外の娯楽が少ないことがあるだろう。以前のパリでは美術館・オペラのような芸術鑑賞が豊富にあり、バーで皆と酒を飲んで騒ぐとったことが普通で、台湾でも、夜市やおいしい中華レストランに皆で食べに行く、また安く飲み歩くことなどが豊富だったのに対し、オレゴン大があるユージーン市はこれといった娯楽はなく、また飲酒も21歳以上という制限から、周囲の友人たちとパーティーに行くこともあまりなく、交通手段も非常に限られていたために、遠出するのも難しい状況であったため、相対的につまらないものと感じてしまったのだろう。楽しい留学生活という面のみで考えると、私はあまりお勧めできないと感じた。

まとめ

2017年8月より始まったパリ政治学院、国立台湾大学、オレゴン大学という3段階の交換留学がついに終了した。改めて感じるのは、3地域3大学それぞれ異なる特徴があり、どれも“海外”と一括りにして2言論的に論じても説明できないほど、それぞれ別物であった。その意味で、私が当初から見込んだ「欧州・アジア(中華圏)・北米圏をそれぞれ理解する」という目標はある程度達成できているように感じる。これが今後の私の人生にポジティブな影響を与えうるかどうかは全くわからないが、少なくとも私の大学生活の中では、この一連の留学は一番のビックイベントであることは確かであり、実行したことに後悔は全くない。私がこの留学で学んだ最も大きなことは、相対的に考える能力であり、また自分の隠れた思想、好みなど、平たく言えば価値観にも気づかされた。具体的には、以前はヨーロッパ・北米的な思想、ライフスタイルを信奉していた私が、この留学を通してアジアに寄りに変わったことがある。価値観が変わるということは、今後の私の人生の重要な選択において、留学する前とは異なった選択肢を取ることに繋がり、とても大きな変化であると思われる。現在大学生活のキャリア選択として留学を考えている後輩達に、私のような全く異なる地域への多段階留学の魅力をアピールするとしたら、その「価値観が変わりうる」という点を最も推していきたい。おそらくこれは1地域への留学では、対立させる軸が不足して見えてこない変化であろう。これから同様の挑戦をする後輩達には、その留学を文字通り“人生のビックイベント”として語れるよう、全力で取り組んでみてほしい。
1年半にもわたる私の交換留学生活では、ゼミの指導教員である高井哲彦准教授、国際連携機構の職員のみなさん、学内選考の面接の際毎度お世話になった面接官の方々、ゼミの同期など様々な方々にお世話になりました。改めてこの場で感謝申し上げます。


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