ハンガリー ブダペスト工科経済大学 交換留学 (長田 新着2018)

ヨーロッパ

留学体験記
経済学部経済学科3年 長田彼方

留学先

ハンガリー、ブダペスト工科経済大学(以下BME)

対岸から見たキャンパス

期間

2018年8月19日~2019年1月22日(三年次後期)

費用

飛行機代:18万円(行き13万円、帰り5万円)
保険:7万円(北大で加入する保険のみ)
家賃:月5万円ほど
食費:月2万円ほど
交遊費、雑費:月3万円ほど

動機

・EUの政策についての勉強
・国際政治の歴史の深いハンガリー
・日本にいると全く情報が入ってこない国への好奇心
・自分のコンフォートゾーンから抜け出す
≒日本人が少ないかつ国際的な人的環境での生活がしたかった。

留学までの経緯

留学への関心は高校生のころからあり、英語の勉強だけは当時から怠っておりませんでした。行こうと本格的に決めたのが2年時の秋ごろ。同じ頃にちょうど新渡戸カレッジ生が無料で受けられるTOEFLとIELTSがあったため受験し、それぞれ79と6.0を獲得。どのような場所に留学したいか、留学に求めるものは何かといったことはある程度決まっていたものの、具体的な場所まではその時点では決まっておらず、指導教員と相談した上で留学先としてハンガリーを選んだのが2018年1月頃。しかし超が付くほど面倒くさがりな僕は準備を全く行わず、すべてギリギリになってしまいました。4月に学内の面接を受けた後は向こうの大学へ申請を出し、必要書類をそろえ、ビザを申請し…最終的には出発までに間に合わせることができました。しかし最後までギリギリになってしまった僕はなんと成田空港へ行く途中に大使館へ寄ってビザを受け取るという事態に。全てが首の皮一枚でつながった準備でした。

大変だったこと:部屋探し

バスや地下鉄の使い方、simカードの契約方法、どのお店で何が買えるかなどの生活に関する基本的な事を全く調べず、完全な丸腰状態で現地に突撃した僕ですが、面白いことに、世の中人の親切心と己の勘を最大限使えば大概の事はなんとかなるものです。そのようなこともあり、生活の初期においてさほどの苦労はありませんでした。しかしながら唯一苦労したのが部屋探し。僕の留学先であるブダペスト工科経済大学は交換留学生に寮を提供していません。生協のような団体が部屋探しを手伝ってくれるようなシステムすらありません。そのため、留学する人は完全に自力でアパートを探す必要があります。現地の慣例として、物件の契約は頭金(保証金)の支払いが全てです。言い換えれば頭金を払わないうちは何が起きてもおかしくない、早く払った者勝ちということになります。例えば僕が部屋を下見するアポをとっていたとしても、その間に他の人が即決して入金してしまえばその時点でそれまでの僕との話は全てなしになります。僕は日本にいる時点である程度の数の物件は見つけていたのですが、取れたアポの内のほとんどは別の人の入金によってキャンセルになってしまいました。現物を見ずしてお金を払うことにためらいを感じた僕は現地入り後に現物を見てから部屋を決める作戦をとりました。

実際に現地入りしてみるとこれまた大変。大家さんとなかなか連絡がつかなかったり、売り物件に出ているのに実はすでに売約済みだったりと、まともに話が進まないことがほとんど。片っ端から電話をかけ、ようやくアポが取れたら現地に下見、でも実際は写真と全然違う!といったことをたくさん繰り返し、入国から一週間ほどでなんとか妥協できる部屋を見つけることができました。ハンガリーではすべての物事が日本よりも遥かに雑であるということを初めて実感した瞬間でした。

僕が選んだ物件は町の中心部の中心部、札幌で言うとすすきのの中心にあたる場所で、5人でのシェアハウスでした。ドイツ、フランス、トルコ、日本と、国際色豊かなアパートになりましたが、特に問題もなく生活することができました。

学内での生活、授業について

僕の履修した授業はハンガリー語を除きすべて経済科目です。さすが(一応)EU加盟国だけあり、EUの政策に関する授業や環境経済に関するものが多くありました。授業形態に関しては北大とあまり変わりません。グループワークやプレゼンテーション、論文作成をメインとする授業、テストのみで成績が決まる授業など、さまざまでした。金曜日はなぜかほとんど授業がない(経済学部は経営学一コマのみ!)ため、お休み。
授業はすべて英語で行われるもので、履修している学生は90%以上が留学生でした。ちなみに僕が在籍していた学期の留学生の国籍比率としてはヨーロッパが約8割。その中でも特にフランス、スペイン、ドイツがほとんどを占めていました。ヨーロッパ以外ではトルコが多く、アジア圏の留学生は韓国と台湾が合わせて5人ほど。日本人は僕を含めて3人でした。ユーラシア大陸以外の人はほとんど見かけませんでした。

・Environmental and Regional Politics of the EU

EUが政策として力を入れている環境問題や地方創生に関して学ぶ授業。授業で教授が話すことは大まかなEUの構図、理念などに加えて余談のみ。基本的には5人のグループで各自が設定したテーマについて調査し、論文執筆&プレゼンをする。リサーチ、ディスカッション、論文執筆のすべてを英語で行うということに加え、信用度合ゼロで混乱を巻き起こすチームメイトを抱えてしまったために、今期一番大変な授業だった。

・Environmental Management of Energy

ハンガリーを中心とするヨーロッパの国々のエネルギー政策に関する授業。各国が直面しているエネルギー問題から、エネルギー効率を高めるための技術、システム、政策などについて学ぶ。授業で教授が話している内容をはるかに超えてテストが難しく、良い成績が取れなかった。

・Risk Evaluation and Risk Management

環境アセスメントなどの、プロジェクトの効果を評価する手法についての授業。基礎的な理論からはじまり、環境保全に関連するものまでを扱う。

・Environmental Economics

環境経済学。経済が環境から受けている恩恵や、逆に与えている損害などを数値化する手法、環境に配慮した経済成長などについて学ぶ。僕は登録上の不手際により修士用で登録してしまったために、成績なしになってしまった!テストの結果からするとBはもらえたはず…

・Economics II、Micro and Macro Economics

特に何の変哲もないミクロ経済学とマクロ経済学。専門に関する英語力を伸ばす目的と復習を兼ねて履修した。同じ内容でも英語になると意外と大変。経済の専門用語をたくさん覚えることができた。

・Business Law

商法。ハンガリーの商法を具体的に学ぶというわけではなく、法の下で企業がどのような位置づけになるのかということや、経済活動を規制する法律の存在意義、歴史的な流れなどについて学ぶ。先生の発音が非常に独特で、授業中は言っていることの20%ほどしか理解できなかったものの、配布資料がとても分かりやすかったために良い成績が取れた。

・Beginners’ Hungarian Course

ハンガリー語の授業。母音が14個あるハンガリー語は聞き取りが非常に難しく、苦戦。都市部(ブダペスト)では英語さえ話せればそれなりに生活ができてしまうということもあり、最終的にハンガリー語スキルはほぼゼロの状態で帰国。

学外での生活、休日

ブダペストはナイトライフが充実した町です。日本のコンビニ以上かと思うくらいの数の飲み屋があり、週末ともなれば町が酔っ払いの若者で溢れかえります。僕の周りの学生も例外ではなく、大学の留学生支援団体が開いている飲み会にはよく行きました。バーで偶然、以前札幌に住んでいたという現地人と会うこともあるから世界は狭いものです。交友関係のほとんどは酒場でできたといっても過言ではないくらい、パブには足繁く通いました。一番よく一緒に飲みに行ったとある友人は酔っぱらった勢いで橋の上で踊りだしたり、飲み屋で回転しながら(踊りながら)吐いたためにセキュリティから(なぜか一緒にいた僕も)つまみ出されたりと、ハチャメチャな飲みっぷりでした。このような話をするとユニークな友人だと思われるかもしれませんが、この程度の若者なら金曜日の夜に町のあちらこちらで見つけられるのがブダペストです。
また、僕は釣りを趣味にしており、最初のころはほぼ毎週末釣りに行っていた記憶があります。日本よりも生態系保護にうるさいハンガリーでは個人の釣りといえどもライセンスが必要で、僕が現地で初めて受けた試験は大学の試験ではなく、釣りのライセンスの試験となりました。釣りがオフシーズンになると今度はカート(小型の競技用車両、要するにマリオカート)に本格的に取り組み始め、良きライバルにも出会うことができました。モータースポーツが盛んなフランスの人はやはりカートが得意な人も多く、主に3人のフランス人とよく競い合っていました。力量も同程度でいい勝負が多かったのですが、最終的には僕が一強という形になったと思います。費用が日本の半額以下に抑えられるハンガリーで多くのカート経験を積めたことは自分の中ではよい糧になったと思います。とあるサーキットではコースレコードを記録し、人生初となる帰国翌日の草レースでは優勝するなど、これから何らかのモータースポーツに参戦したいと考えている自分にとっては実りある半年間だったと思います。

ハンガリーという国について

学生として現地で暮らすことによって得られることのメリットの一つは、その国の良い点のみならず悪い点も見えてくるということでしょう。首都であるブダペストこそ美しい街並みで観光客を魅了していますが、ハンガリーという国は政治経済的に大きな問題を抱えています。例えば自国の産業に乏しいという点。買い物をしていると分かるのですが、ドラッグストア、スーパー、衣料品店など、消費者の目線からしても明らかに外資の参入が激しく映ります。有名なハンガリー資本の国際企業はあまりなく、逆に国内の多くの産業が外資に侵食されている状況です。また、政治に関してもEU諸国の首脳から「独裁者」と呼ばれる大統領が政権を握っており、彼は国境に移民対策用のフェンスを作ったり、反ユダヤ主義を掲げて当選したりと、議論を巻き起こしています。僕が留学している間に労働時間に関する法律が改正されたのですが、それに反発する形で起こったデモにも直接遭遇した時は肝を抜かれました。このような政治的ムーブメントは日本では全く報道されていないため、自分の目で直に見ることができたのは良い経験になったと思います。

留学を終えて、まとめ

僕は北大では学生寮に住んでいるということもあり、比較的多国籍な(留学生との)交友関係がありました。そのため多国籍な環境で生活することに対して特に心配はなかったのですが、予想に反して、実際に留学してみると面喰らうことが多少ありました。例えば「約束」に関するとらえ方が全く違うということ。週末に出かける約束をしていて、当日にキャンセル(時には連絡なし)されることはごくごく当たり前。人によっては授業のグループワークで自分の担当を期日までにやると豪語しておきながら、何も告げずに音信不通になる人もいます。留学によって国際感覚を養うという文言はよく耳にしますが、今回の留学で感じた自分にとってのそれは「バックグラウンドも常識も全く違う相手が信用に値するかどうかを見極める目」でしょう。これからの人生、仕事やプライベートで日本人以外の人と接する機会は増えていくかと思われますが、その中でうまく関係を保っていくためのスキル、感覚は養われたかと思います。
また、この半年間は自分の性格について深く考えるきっかけにもなりました。留学などの海外経験で自分が大きく変わったというような文言は聞くことがよくあるかと思われます。しかしながら自分にとっての今回の留学はむしろその逆だったと、帰国した現在ではつくづく思います。留学中は多くの人と話したり、特に好きでもないけど誘われたから試しにやってみたり、などという新しい物や人への出会いは多くありました。しかし最終的に本当に心から興味の湧くことは限定的であったり、人間関係に関しても最終的には本当に仲の良い人だけで集まるようになったりと、環境が大きく変わっても自分の性格はなかなか変わらないのだとつくづく感じました。そのような繰り返しの中で、自分が本質的に好きなことは何か、何に楽しさを感じるのかということをより考えるようになったと思います。


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