香港 香港中文大学 交換留学 (上杉 新着2018)

アジア

留学体験記
経済学部経営学科3年 上杉香織

留学先

香港 香港中文大学

期間

2018年8月27日~2018年12月27日 (3年次 後期)

志望理由

・専門分野を英語で学びたかったため
・東洋と西洋の結節点という場で、文化・生活・学習面から現地生活にどっぷりつかりたかったため

費用(1セメスター分)

留学前

飛行機 成田―香港国際空港、片道約10万円
ビザ 約9000円
保険 53000円

留学中

寮費 約23000円/月
食費などその他支出 約6万円

留学前後のスケジュール

2年生前期 留学を意識して具体的な大学を検討
8月 TOEFL受験:目標スコアをなんとか獲得
10月 留学志願書提出
1月 TOEIC受験:就活にも使えるように受験
2月 TOEFL受験:英語力の確認のために受験するも大失敗

学内留学面接に合格

3月 現地大学へ留学申請書類を提出
3年生5月 現地大学から申請許可のメールが届く

ビザ・寮の申請

7月 ビザ到着、時間割申請
8月 寮決定、出発
12月 TOEIC受験(香港滞在中)

帰国

1月 HSK受験

就職活動開始

留学準備

ビザ

申請に約6週間かかりました。5月下旬に大学からメールにてビザ申請の必要書類の連絡が来ました。書類をそろえ大学へ郵送し、大学がビザ申請をしてくれるシステムでした。7月中旬には自宅にビザが大学を通して郵送されました。総じて手続きはとても楽でした。

保険

大学指定の保険の加入のみでした。留学中たくさん通院をしましたが(後ほどトラブルの章にて詳しく)、大学の保険のみで保障は十分でした。

お金

クレジットカード2枚、デビットカード1枚を使ってました。現地通貨は銀行口座から引き出していました。
携帯電話とWi-Fi
元々シムフリーのスマートフォンを持っていたため、日本と同じものを使用しました。シムカードは予め日本で購入したものを、ウェブ上で料金をチャージしながら4か月間使いました。

留学中

到着後

日本からは約4時間と近い香港。以前に旅行で行ったこともあり、空港から大学まで経路、SIMカードなど調べることはすべて準備していったつもりでした。しかし、到着直後に荷物受取所で重すぎるスーツケースを持ち上げたところ取っ手を破損、SIMカードは差し替えても電波が飛んでこないなど幸先の悪いスタート。調べておいた情報を頼りになんとかタクシーで大学に到着しました。ここから約1週間オリエンテーション期間となり、その後授業が始まりました。

現地生活

大学は中心街から電車で約30分離れた山の中にありました。大学から2駅先に、一通りの生活用品がそろうショッピングセンターがあり、買い物には全く困りませんでした。治安面で心配することはなく、盗難被害もありませんでした。到着した8月下旬から9月にかけては、気温も湿度が高い大雨が続きました。しかし、10月から12月は天気も気温も過ごしやすい日々が続きました。厚手のコートは全くいらず、夏服と少しの上着で留学期間を終えることができました。

住居

学内の寮にルームシェアで住んでいたため、とても安く快適に過ごすことができました。寮にはプライベートなスペース(個室)が全くないため、ルームメイトと相性が合わず苦労している友人もいましたが、私の場合はルームメイトのおかげでホームシックにかかることもなく、たくさん香港について教えてくれました。また、病気やけがの際もルームメイトがそばで助けてくれたため乗り切ることができました。

香港中文大学について

キャンパスは山を開拓して作られており、一つの街のようになっていました。校内は観光バスのような無料のシャトルバスで移動しました。留学生を含むたくさんの学生が校内の寮に住んでいます。学内には9つのカレッジがあり、いずれかに学生は所属します。学内には学食やスーパーマーケットがあり、とても便利でした。図書館もきれいに整備されており、テスト前は24時間勉強できます。学生は家に帰らず、寝る間も惜しんでスタディールームで仮眠を取りながら必死な思いで勉強をしていました。

Buddy Program

出発前にBuddy Programの参加を申請しました。現地学生1人が大学から割り当てられ、留学生活のサポートをしてくれました。日本にいる時から連絡を取り合っており、履修システムや現地生活について事前に相談に乗ってもらっていました。現地でも初期の買い出しを手伝ってもらったり、悩みを聞いてもらったり、街を紹介してくれたりと、Buddyが精神的支えとなりました。またBuddyが起点となって友人を紹介してもらったり、複数のBuddyが集まって一緒にご飯を食べに行ったり遊びに行ったりしてました。このプログラムに申し込んでいた留学生は早期から留学生活を充実させていた印象です。

授業

※黄:経済専門科目、赤:中国語、緑:卒業論文関連科目

<内容>
① Organizational Behavior
名前の通り、組織行動について深く学ぶ授業。個人行動、集団行動、組織のリーダーの資質と要素ごとに授業が進んでいきました。評価は出席点と授業内ワーク、中間期末の2回のテスト、期末レポートでした。授業内ワークでは、ビデオを見る、ケース問題を解くといった実際の例を扱っていて興味深かったです。また、担当教授は日本を悪い例として話すことが多く、日本ではあまり聞けない率直な外国人の視点を知る貴重な場でもありました。

② Business Economics
ミクロ経済学に近い内容。理論をどのように実際に活かすのか、具体例を用いながら教授が楽しく説明してくれる講義形式の授業でした。理論や計算よりも実例への応用に重点が置かれているため、テストでは論述が重視されました。評価は中間と期末の2回のテストのみ。内容的に完答できたつもりでテストの記述をしても、6割ほどしか得点が入っていないなど、英語での論述試験の難しさと悔しさを体験した授業でもありました。

③ Studies of Cities
都市の発展の仕方について、複数都市を比較しながら学んでいく内容。古代都市から現代の傾向まで、幅広い時代と分野を横断的に学んだ。授業評価は、出欠点、グループプロジェクト、フィールドワークとレポート、中間・最終レポートと多くの観点から丁寧に見てもらえた分、一番大変な授業でした。

④ Communication in Context 1
文法を学びながら主にWriting, Readingに力を入れた授業。毎週ウェブでの課題とそれに基づく小テストが必ずあり、着実に力を伸ばせる授業でした。欧米人が慣れない発音や漢字を意欲的に学んでいる姿には刺激を受けました。

⑤ Basic Presentation Skills
主にListening, Speakingに力をいれた授業。こちらもWeb課題があり、リスニング問題の音声がネイティブスピードを要求されとても難しかったです。教材は香港や中国の紹介がベースとなっており、学んでいてとても興味を持てました。

<授業のサポート>
Independent Learning Center
いわゆる学習サポートセンターです。中文大学の学生は全員利用することができ、中国語と英語の両方の指導を受けられます。私は、英語のレポートについて質問しに行きました。テスト形式では、英語で問題文を理解する→習ったことを当てはめる→英語で思考の結果を表現するの3段階全てにおいて母国語のようにスムーズにいかないもどかしさを経験しました。一方レポートでは十分に時間をかけられる分、何としてでも自分の考えを正確に伝えたいと思い利用していました。レポートの構成から、文法・表現・単語の使い方まで1人ずつ丁寧に添削をしてくれたため、納得のいくレポートを書くことができました。

トラブル

4か月しかない留学を充実させるぞ、と準備をして日本を出発したものの、予想外の出来事が続きました。しかし、友人にも助けられ、自分で考えて乗り越えて、今となっては貴重な経験です。

① 蕁麻疹

渡航から2週間後、ある日の夜に冷凍のエビシュウマイを食べたところ経験したことがない蕁麻疹に見舞われました。アレルギーを全く持っていなかった自分にとってエビアレルギーを発症したことはショックで、現地でたくさん出てくる飲茶でのエビ料理を食べれなくなったのは本当に残念でした。ルームメイトに助けてもらい、翌朝なんとか大学病院で薬をもらったものの症状は悪化し続け、LINE電話サービスを利用して保険会社に連絡し、翌日現地の病院を仲介してもらいました。しかし、1週間ほど部屋から出ることができず、留学初期に授業に参加できないことから不安と焦りが先行しました。

② 捻挫

留学中盤において、気晴らしと思い、ルームメイトと友達と楽しんでいたハイキングコースの下り坂で捻挫をしてしまいました。コース途中にタクシーで帰るはめになりました。捻挫後すぐにLINE電話で保険会社に電話をし、翌日仲介してもらった病院へ行きました。山がちな大学内での移動にとても苦労した1週間でした。趣味のバドミントンも、寮でジムに行っていたこともできなくなってしまいました。結局帰国1週間前まで片道1時間以上かけて週2回通院することになり、とても時間を奪われたことが誤算でした。しかし、香港人の医者が父親のように優しく、施術の時間が癒しの時間になっていたことも事実です。

③ 帰国後の住居(余談)

私は一人暮らしだったため、約5か月間札幌の家に荷物を置いたまま空けていました。9月に起きた北海道地震の被害を心配しながら帰宅すると、地震の被害は瓶が2つ倒れていただけでした。しかし、安堵していたのもつかの間、電気をつけると部屋一面に数千匹のコバエの死骸が広がっていました(水が少なくなったトイレから部屋の奥まで飛んでいたらしい)。札幌に帰ってきて2日間、部屋の大掃除をしながら友人宅に寝泊まりする予想外の事態でした。全てきれいに掃除をしていったつもりでしたが、長期間家を空ける場合はしっかり対策をした方がよいでしょう。

思い出

① バドミントン大会

自分の趣味を通して友達が作れればという思いから、日本から全て道具を持参して、学内のバドミントン大会にエントリーしました。共通の趣味を持つ者同士が友達になりやすいのは万国共通であることを実感し、一人で参加したものの帰る時にはたくさんの友人に恵まれました。そして、中国語で3位を意味する「季軍」の文字が入ったミニトロフィーはちょっとしたお土産になりました。

② 中国本土訪問

大学から電車で約20分の駅で入国審査を通り抜けると、すぐに中国本土である深圳に行くことができました。香港の人もよくお買い物で深圳に行くらしく、地下鉄の言語に広東語も含まれるなど少しだけ香港の雰囲気を残した中国本土を体験することができました。
また、9月末に開通したばかりの高速鉄道に乗って、片道約8時間かけて桂林にも行きました。香港からは簡単に中国本土にアクセスできますが、街の雰囲気や文化は全く異なり、香港に戻ってきた時は少し安心感を覚えるほどでした。

③ 日本が大好きな友人たち

香港の人は日本に対してとても友好的でした。知り合った友人の中のほぼ全員が日本へ旅行をしたことがあるぐらいでした。学内のお祭りにてたこ焼き屋の出店をするのにアドバイスをするために現地学生に混ぜてもらうこともありました。日本と香港の両方の文化を教え合うことで、留学後も連絡をとりあえる友人がたくさんできたのは大切な思い出です。

④ ボランティア活動

現地の小学校の英語の授業に参加して、一緒にゲームをするなど運営をサポートするボランティアに参加しました。トリリンガル人材が育つ現地の教育方法を実際に自分の目で確認したかったからです。活動中は、香港の小学生は初対面の外国人でも興味津々で、自分の気持ちを日本人の私にむかって英語で伝えている姿勢が印象的でした。また、喧嘩を仕掛けた生徒に対して先生が教室の隅にしばらく立たせるなど、日本ではあまり見ない光景も垣間見ることができました。

最後に

今回の留学は行ってよかったと断言できます。1点目に勉強面です。英語を使って学習することで世界中の文献を利用でき、勉強の幅がさらに広がることを実感しました。英語力は現地学生に及ばないことも多く悔しい経験もしましたが、今後に向けて継続的学習への大きなモチベーションになりました。就職活動の前に自分の将来像を描けたという面でも、この留学は自分にとって大きな財産になりました。
2点目に大切な友人ができたことです。Buddy Programへの応募、大学のバドミントン大会へ参加するなど、自ら交流の場を探しました。結果として現地学生、留学生、中文大学に留学していた日本人など、たくさんの友人ができました。現地学生は全員英語、広東語、中国語を使いこなし、多様な視点を持っていました。日本に興味を持ってくれる友人が多く、学生の視点からですが香港と日本の違いがよくわかりました。
3点目には、トラブルに対処する力がついたことです。留学初期の蕁麻疹、中盤では足首を捻挫するなど思いがけない出来事が多発しましたが、助けを求め、自分で考えて柔軟に対処する力がつきました。
北海道大学からの香港中文大学への留学は少ないですが、香港留学は強くおすすめできます。現地大学の留学生へのサポートはとても充実しており、安心して留学準備・留学生活を送ることができます。また、ルームシェアはホームシックにかかることもなく、生活面でも多くを学ぶことができます。言語面では、やり方次第では英語・中国語・広東語の3つの語学を鍛えることも可能です。現地学生は勉強熱心かつ異文化理解力にも長けており、多くの刺激を受けることができます。わずか4か月でしたが、忘れられない留学生活となりました。最後になりましたが、この留学を支援してくださった先生方や国際交流課の皆様、本当にありがとうございました。


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