留学のすすめ1: 留学の7つの誤解 (高井哲彦 Vol5)

留学マニュアル

◇誤解1.留年すると就職で不利になる?

留学による1-2年の留年で就職が不利になる例は見たことがありません。就職時に25歳以上なら理系の修士号、28歳以上なら博士号取得者と競合する可能性はありますが、それに準じた専門性を身につけていれば問題ありません。

 

◇誤解2.留学すると就職に有利?

日本企業の新卒採用の場合、留学と就職はほとんど関係ありません(海外学位取得者は別枠)。とはいえ、新興国留学、上級語学資格(TOEIC900/HSK6級~)や海外インターンシップ等の成果があれば、精神力・体力だけは体育会部活に準じて認められるかもしれません。

 

◇誤解3.留学すれば国際関係の仕事ができる?

1-2年の留学では国際業務や現地就職には不十分です。日本の大手企業の総合職の場合、海外赴任を希望してもその前にまず、留学と無関係な実務で実績作りを求められます。また現地就職は、海外大学院学位や専門技能を持っていたり、現地人との結婚で就職ビザを取れたりする人に限られるようです。ただし、TOEIC高得点や留学経験を採用条件とする企業は増える傾向です。

 

◇誤解4.英語さえ勉強しておければ将来役立つ?

いまや語学よりも専門の方がはるかに大切です。エンジニアも社長も法律家も研究者も、通訳を介さず英語を話すのが常識だからです。逆に、国内外の一流大学の専門学位を持ち、英語・日本語を含む3ヶ国語以上を流暢に話す優秀な外国人が、大変な勢いで増えています。母校や留学先の教室でも隣にいたはずです。

 

◇誤解5.留学は欧米に限る?

今や「国際的な仕事」の多くは新興国を舞台にしています。「英語+1」も注目されています。華僑圏、西語圏、スラブ圏、イスラム圏、仏語圏での生活経験は無駄にならないでしょう。

 

◇誤解6.第二外国語や新興国は好きだが英語や先進国は嫌い?

英語が普通に使えてこそ、第二外国語が活かせます。新興国をフィールドする人でも、先進国の文化環境や英語ネイティブとの競争は経験する価値があります。その意味で、英語圏・先進国と非英語圏・新興国の双方を視野に入れるのが理想です。学部時代に新興国を知った上で、卒業後に先進国の大学院・企業に進めば、鬼に金棒かもしれません。

 

◇誤解7.海外で一発逆転や自分探しをできる?

留学は専門を伸ばすための手段のひとつです。未知の才能や経験が空から降ってきたりしません。また、海外では環境に振り回されがちなので、内省的な自分探しには不適当です。いかなる目的を実現したいのか、そのために留学がベストの手段か、まず渡航前に考えるべきです。同費用・同時間で国内資格や公務員も目指せます。


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留学のすすめ1: 留学の7つの誤解 (高井 Vol.5)
留学のすすめ2: 交換留学のすすめ (高井 Vol.5)
留学のすすめ3: 語学の学習 (高井 Vol.5)
留学のすすめ4: 留学の準備 (高井 Vol.5)
留学のすすめ5: 留学の生活術 (高井 Vol.5)
留学のすすめ6: 留学の勉強術 (高井 Vol.5)