スウェーデン ヨーテボリ大学 & 台湾 国立台湾大学 交換留学 (Vol .5)

ヨーロッパ

留学先

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①ヨーテボリ大学(スウェーデン)
②国立台湾大学(台湾)

期間

①2012年8月後半~翌年1月後半
②2013年2月中旬~7月中旬

動機

①幅広い価値観を養いたい!
②キャリア形成にたくさんの可能性を!

費用

①航空券往復:約30万円(片道ずつ買ったため高額)、生活費:約10万円/月
②航空券往復:約8万円、生活費:約7万円/月

 

1週間のスケジュール:ヨーテボリ大学

AM Environmental Economics Environmental Economics 課題 Environmental Economics Management 課題
PM 課題
Swedish policy
Language café
課題
FIKA
スウェーデン語授業
GW
課題
After Work
パーティー
お出かけ、旅行等

1週間のスケジュール:国立台湾大学

土日
AM 中国語授業 中国語授業 中国語授業 中国語授業 中国語授業
Chinese Economy
課題
PM 課題
Language Exchange
Market and Economic Development 課題 Taiwanese Fiction お出かけ、旅行等

 

スケジュール

スウェーデン留学前

台湾留学前

二段階留学後

2011年10月 「留学したい!」
12月
TOEFL・TOEIC受験。惨敗。
2012年1・2月
ひたすら勉強
2月
再受験・交換留学申請
学内面接:スウェーデン
5月 学内面接:台湾
7月 諸準備(VISA、海外保険、カード等)
8月 スウェーデンへ出発
2011年12月
台湾の準備開始
@スウェーデン2012年1月中旬
帰国
台湾に向けて準備
(VISA、航空券、中国語等)2013年2月中旬
台湾へ出発
2012年7月中旬
帰国
9月 HSK受験
TOEIC受験
10月
ぼちぼち就活準備

 


 

スウェーデンと台湾の二段階留学

 

はじめに ―留学なんて夢のまた夢―

「英語も勉強もできない落ちこぼれだから留学なんて出来ないなー。」こんな風に思っている皆さんにこそ読んでもらいたい体験記です。勉強も準備もギリギリ!それでも留学は実現できるし多くのことを学べます。皆さんが諦めないきっかけになれば幸いです。
もともと、高校生の頃から留学に憧れていました。大好きな先生の言葉や、少しばかりの国際経験、海外の文化への興味…そんな理由で自分は大学生になったら留学をする!なんて思いながら大学入学を果たしました。しかし、現実は厳しいです。世の多くの大学生と同じように、サークルやアルバイトに夢中になった私は、頭の片隅に留学のことは追いやって日々を楽しみました。いつも、「まだまだ時間はあるしもう少ししたら考えよう」とのんきに構えていました。そして大学2年生も秋。ある日留学をしたいと以前から話していた友人に言われた一言。「留学したいって言っているけど実際になんかしてる?そんなんじゃ絶対むり。やりたいことのためには何か犠牲にしなきゃ。」とてもショックでした。あまりにも正論で自分が情けないのと同時に、その時はじめて留学の実現を現実に見据えました。このまま過ごしていては留学できないことにやっと気づき、その日から私の留学準備は始まりました。(留学の第一次締め切りは既に始まろうとしていた)遅いスタートダッシュだったと思います。
 

■  留学準備(語学編)

留学を志し、初めにしたことは国際本部に相談にいくことでした。留学=国際本部という単純な考えで訪問。そこで言われたのは、語学スコアがないのでは留学の応募も何もできない上にレベルもわからないということ。そんな訳で、まずは一番締め切りの近いTOEICとTOEFLの申し込みをして受験しました。しかし結果は散々。正直に書かせて頂くと、TOEICは400点代でTOEFLはぎりぎり50点。全く勉強をしていなかったこともあり、留学をしたいなどといえるレベルではありませんでした。
その間に、経済学部の留学担当教授にも相談に伺いました。金銭面の問題から、留学は交換留学で行きたいと考えていましたが、そこでのチュートリアルで交換留学はまだ第二次募集があることを教えて頂き、スコアもそれまでに取得すれば良いことを知りました。そこで第二次募集応募までにスコアをとることを目標に猛勉強を開始。サークルやアルバイト、期末試験の合間を縫い、空き時間があれば英語を勉強したといっても過言ではありません。国際本部が提供する春季TOEFL講座などを経て、再受験をした結果、所定要件ギリギリのスコアを叩き出すことに成功して第二次募集に交換留学申請を行いました。(TOEICは300点、TOEFLは20点ほどあげることに成功!)
 

■ 留学の動機 -なんで二段階留学?-

そもそも留学を大学時代にいこうと決意した一番の理由は、広い視野・価値観を養いたいからというものでした。海外での大学生活を通して日本人以外の視野を学び、留学にきている他国の学生や現地の学生とわたり合えるようになりたいと考えていました。また、海外留学することで、新たな言語や科目を学び深め自分の興味について知り、自分の将来のキャリア形成に役に立てたいと考えていました。
初めて留学国を検討した時は、その頃一番興味をもっていた環境経済学の先進国であり、学部の協定校であるため経済学の授業が充実している、スウェーデンを希望していました。ただ、ある時二段階留学という手法を伺ったとき、自分の留学の動機により相応しいではないかと考えました。二か国、特にヨーロッパとアジアといった異なる地域での経験はより広い価値観を知る機会になり得るのではないか、そのそれぞれの地域を選択する学生は趣向が異なるのではないか、と思ったからです。また、自分はそれぞれの国の言語や文化だけのプロフェッショナルになりたい訳ではありません。それならば、二か国の異なる生活や学びは自分にとってよりプラスに働くと思いました。二段階留学を決意した後は、ヨーロッパとアジアでそれぞれの地域から学びたい国を選び、スウェーデンと台湾へ留学することになりました。
 


 

スウェーデン・ヨーテボリ大学・交換留学体験記

 

■ なんでスウェーデン?

その頃興味があった環境経済学の先進国であったことと、学部間の提携校だったことが大きいです。また、スウェーデンの労働環境やスウェーデン留学経験者の話、北欧家具や雑貨への興味があったことが決め手となりました。
 

■ 留学準備~スウェーデン編~

① 居住許可と海外保険
留学前の手続きで一番苦労したのは居住許可証をとることでした。WEBサイトから申請するのですが、なぜか北大のE-MAIL1アドレスでは認証が出来ません!そのため何度もやり直すという手間がかかってしまいました。要注意です。また、居住許可の申請するにあたっては提出する書類が多く、行く前ギリギリに始めた私は大慌ての準備になりました。(書類で一番面倒なのは、銀行の預金残高証明書。)海外保険は、 居住許可の書類で出す必要があったので、北大で勧めている東京海上を知る前に他社(AIU)にきめてしまいました。
 
② カード
留学するに当たり海外で使用できるキャッシュカードも作りました。私の場合は、手数料等の理由から楽天のデビットカードを選択。また、スウェーデンはクレジットカード大国で、コンビニの100円のお買いものでさえカードを使うという話を聞いていたので、クレジットカードも限度額の大きいものを新しく作りました。ちなみに、本当に北欧諸国はカード大国だったので、このクレジットカードには大変お世話になることになりました。
 

■ スウェーデンでの生活

 

① 到着

空港に到着後は自分でホテルまで移動しました。(到着日によってはピックアップサービスがあります)そうして次の日に住居の部屋の鍵を学校の建物まで取りに行き、寮まで移動しました。自力での移動は大変でしたが、それができるほどにはスウェーデン人は親切で、ヨーテボリは大きくない街だと思います。そして、この日から2週間ほどは交換留学生のためのオリエンテーションとアクティビティの連続。アクティビティは、大学の学生団体が全体に向け企画しているもの、市と大学が企画しているもの、HANDELS(経済・法学部)の生徒向けの企画など様々で毎日がイベントで嬉しい大忙しでした。留学生向けのサポートはとても充実していて、到着後からの手続きやオリエンテーションで困ることは何もないと思います。居住許可証も、指定の場所に行くと写真・指紋をとるだけで簡単に作り終わることができました。たとえ困ることがあったとしても、留学生はほぼ同じ境遇なので誰かが必ず何か知っています。もし身近な人に聞いてもわからないことがあれば、FACEBOOKで留学生向けのグループがいくつかあるので、そこで質問すると必ず誰かが教えてくれるようになっています。

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HANDELS(商経法学部)の入口

 

②  生活

◇ヨーテボリ
ヨーテボリはスウェーデンの第二の都市で人口は90万人ほど。第二の都市ということで、首都ストックホルムとの関係は、日本でいう東京と大阪を想像してもらうと簡単です。ヨーテボリの人々は少なからずストックホルムに対してライバル心をもっていて、「ヨーテボリの方が人も親切だし方言も魅力的だ!」というようなことを言ってきます。現に、ヨーテボリ弁はスウェーデンのセクシーな方言NO.1に輝いているため、魅力的というのはあながちウソではないようでした。海運や貿易で栄えた街であり、その関係の博物館美術館も多数あります。中心地は頑張れば徒歩で歩くことができるほどの大きさで、トラムが無くなった深夜には友人たちと歩いて寮に戻ることもありました。公共交通機関はどこへいくのにもトラムやバスが充実しているため便利です。学生は3か月乗り放題切符を安く買うことが出来ました。また、移民が多く、ヨーテボリで一番大きなショッピングモールでアンケートをとったときは、なんと半分の割合で移民でした。(たまたまかもしれない)大学の先生曰く、ストックホルムに負けないよう、ヨーテボリは「イベントの街」として頑張っていきたいというのが現在の志らしいです。そのため多くのイベント(映画祭、音楽祭、アニメ関連…)を誘致していて、スポーツの観戦も盛んに行われていました。*
 
◇住居
交換留学申請時に、学生寮へ応募しました。
選択肢は5,6つありましたが先輩方のアドバイスをもとに決めたのはHELMUTSROGATAN。キッチン付一人部屋で、以前の住人が家具や電気製品も多く残してくれていたためとても快適な生活ができました。(TV,スピーカー、電子レンジ、ティファールなどもある“当たり部屋”でした)。自分で購入したものはほぼありません。広さは、8畳くらいでインターネットも常時完備。洗濯機は各階に2つずつあり、予約制で使えました。授業を行っている校舎まではトラムで約25分、一番近い学校の図書館までは10分圏内。街の中心までも10分くらいでとても便利な場所に住むことができました。近くには歩いて行くことができるスーパーマーケットも二つあります。他の寮と違い、私が住んだこの寮は留学生が多く占めていました。留学生のパーティーもよく共同のキッチン(1フロアに1つある)でおこなわれていて、自分が参加するときはかなり便利で良かったですが、参加しない場合の騒音はひどく次の日の朝の建物内の汚さはひどい状態でした…。

vol5_ami_p2寮の部屋

 
◇食事
自炊、友達と料理、外食をバランスよくしていた気がします。
朝は基本コーンフレークかパン。(どちらも種類が豊富で美味しい!)昼は、授業が午前か午後のどちらかということが多かったのでほぼ家で自炊しました。学校で食べることになるだろうときは、自分で作ったものをもっていきました。学食でも一人日本円にして1,000円ほどかかるので設定金額は高かったです。お休みの日は、外食でもランチならディナーの値段ほど高くないので、行きたいお店を友達と巡ったりしました。夜は、ほぼ自炊または友達と料理。
自炊だと、パスタやジャガイモ等の野菜が比較的安かったのでよく使い、日本になさそうなものはできるだけ試していました。またスウェーデンは冷凍食品の種類がとても豊富なので、少しお世話にもなりました。友達と料理をすると、安くおいしい豪華なものが食べられるのでおすすめです。いろいろな国の料理が食べられるし、つくってあげると“大抵”喜ばれます。キッチンの使い方も、出身国で(その人によって?)ちがって面白い!
お米がどうしても食べたくなったときは、お寿司やさんへ。歩くと一つは発見できるというくらい多くSUSHIの看板をヨーテボリ見つけることができます。海辺町なので海鮮が美味しいからのようです。ちなみに世界で1番くさい缶詰であるシュールストローミングは食べられたものではなく、スウェーデン人さえも経験者は少なかったです。 でも絶対食べるべき!
 
◇人々
たくさんの出会いがありました。交流の場が多くあるため、必然的に出会いもたくさん。パーティーなどで、友人の友人と仲良くなることがとても多く、また顔見知りがとても増えていった気がします。英語がおせじにも上手いとはいえない私は、「とりあえず挨拶&自己紹介」をお約束として心が折れそうになっても笑顔で突入しました。
 
まず、各国からの留学生。ヨーテボリ大学に来ている学生は本当に切り替えが上手な人が多かったと思います。“PARTY!!!!!!!”といつも言っている留学生も(特にERASMUSというヨーロッパ圏の留学プログラムできている学生…笑)、「今日はパーティーやるからそれまで図書館いくんだ。」と実はしっかりしていたり、「ERASMUSだから勉強はしなくていいの♪」と言いながらも課題やプレゼンの準備をしっかりして準備にのぞんだり…。もちろん個人差はあるものの、しっかりした人を多く見ました。そして、やはりアジアからきている留学生とは気が合うことが多かったです。文化が近いと共感できることも多いのが理由だったと思います。始めは、ヨーロッパの学生はなんとなく大人っぽいなあと感じていましたが、しだいに話してみると実は「同じ」だということを実感していきました。(女の子はやっぱり世界中ガールズトークで盛り上がる!)
スウェーデンの人々。たくさんのスウェーデン人に出会いました。
 
まず、日本語を勉強しているスウェーデン人。ヨーテボリ大学には日本語学科があるため、知り合う機会が多くありました。彼らは日本のサブカルチャーに興味がある人々が多く、日本人の私よりもアニメや漫画、音楽について多くのことを知っていました。こんなに遠くに住んでいる人が日本について興味を持ってくれているというのを実感できるのは嬉しかったです。1年生だとまだ日本語は話せないため、スウェーデン語を聞いたり日本語を教えたり…ということを英語で行いました。日本語を話せる人でも英語で話しかけてくれたり、スウェーデン語の教室を開いてくれたり、色々な場所に誘ってくれたり…と、とてもお世話になりました。「スウェーデンでよい思い出を作ってほしい!」とたくさんの人が言ってくれたことは凄く嬉しかったです。
 
次に、スウェーデン人の大学生(通常授業で知り合った日本語は勉強していない)。スウェーデンの大学生はみんなかなり勤勉で、図書館はいつも込み合っています。北大ならテスト前の状態がいつも…。遅刻も全くしていませんでした。授業でも留学生に気さくに話しかけてくれたおかげで、たくさん話すことができました。ただ、私の授業にはたまたまいたスウェーデン人だが、英語で行われる授業は留学生だけというものが多いため、「スウェーデン人と会えない!」と言っている留学生たちも多かったです。
 
そして、最後にスウェーデン人の社会人。たまたまカフェで会った旅行好きのインターナショナルスクールの先生やパーティーで会った映画会社の社長!(ほんとう?!)他にも、ボクシングの選手見習い、友達の友達のバンドマン、医者、ITの社長だったのに昔からの夢パイロットを叶えるためにアメリカに行ってしまった人…。日本では出会えなかったような仕事の人にたくさん出会うことができました。 夢を追って自由に暮らすスウェーデン人がとっても多かった気がします。
日本にいるときと違って、もともとの人間関係が何もない状態から始まる留学生活。日本にいると出会える人は自然と自分と境遇が似ている人に偏りますが、スウェーデンの生活で出会う人はいつもと少し違っていたように思います。
 

③ 大学と授業

◇ 大学環境
私が主に使ったHANDELS(商経法学部)という校舎は、比較的新しく、デザインもおしゃれで近代的です。大きな図書館や食堂、パソコンルームもついて勉強しやすい環境でした。向かいにも大学メインの図書館があるため、必要な方の図書館を利用できます。WIFIは校舎内どこでも接続可能。HANDELSはヨーテボリ大学の中でも優秀な学生が集まっているらしく、ヨーテボリの人から「頭がいい・オシャレ・プライド高い・お金持ち」というイメージをもたれていると聞いたこともありました。
 
◇ 授業
スウェーデン語の授業は1週間に1回。それ以外に通常授業としてとったのは以下の3つです。一つの講義は、3時間くらいでその中で休憩が2回くらい。
 
“ENVIRONMENTAL ECONOMICS”
環境経済学の授業。経済学部だけではなく、理系の学生も受講していました。簡単な環境経済のキーワードや指標、考え方、数式の説明からはじまり、環境政策の評価の仕方や規制の善悪などを学びました。政策評価では、EXCELを使い実際に計算を行います。授業自体は、講義、コンピューターラボ(EXCEL)、グループワークが主。グループワークでは、自らで環境政策の提案とそれに対する住民への調査のとり方の発表や、記事を読んで概要を発表するというものなどがありました。最終試験は、4時間で全問記述式。先生は2人が数回ずつ交代しておこなっていて、週に3回は授業あったのとグループワークがあったことで、かなり学生間は仲良くることが出来ました。
 
“MANAGEMENT”
経営学の講義。北大で受けた経営学の授業とは少し違っていて、人との関係性の中での経営者の理解に焦点をあてている感じです。受講した中では一番難しい授業でした。イントロダクションではいきなり教科書1冊を買わされ、「金曜日までに全部読んで、グループレポートよろしく☆発表は月曜ね!」と細かな注意とともに軽く言われました。グループは5人固定で、グループワークが毎週おこなわれました。先生はグループに話をいきなり投げかけたり、発表に対する講評も学生にさせたりするのでいつもどきどきしながら座っていました。授業の特別講師として、ヨーテボリに本社をおくVOLVO社の人事トップの女性が来たこともありました。休み時間には一緒に話すこともでき、日本人の女性の仕事環境や会議での態度について言及されました。貴重な経験ができた授業だったと思います。
 
“THE SWEDISH MODEL AND EQUALITY: FAMILY POLICY AND GENDER RELATIONS”
主にスウェーデンにおける男女の労働環境についての講義。「男女平等の国」と謳われる国に来たのだから!と思ってとった講義です。教授は3人いて、それぞれが何回か担当する方式。(みんな女性の教授!)基本となる事柄から現代の実際の問題まで、かなり多く文献を読んで学びました。3回の講義と記事に対する個人レポートとそれを発表し議論するセミナーがあり、最終的にはグループでプレゼンテーションと最終レポートというかたち。セミナーは、女性の権利に対する各国の状況を知れたり、ある留学生から「日本は女性が育児をしながら、高い地位につくことは無理ときいた」というような質問をうけたり…とかなり充実したものでした。また教授自身が、自らの育児経験などを例にして話してくれるのでそれも興味深かったです。後に日本に帰ってきた時の就活でこの講義を思い出すこともありました。
 

■ スウェーデンに留学して

① スウェーデン人
スウェーデン人は日本人と似ている、なんて説があります。シャイで真面目で輪を大切にして…。実質5か月間の留学生活でしたが、その中で似ていると感じること・全く違うと感じること、どちらも多々ありました。シャイ…と自ら言っているわりに、街中での気さくさが多く目についたり家族を簡単に紹介してくれたり、でもやはり時には初対面の人にすごく距離をおいていたり。時間を守る点や、靴を玄関で脱ぐ点は似ている…と思えば、ごみは町中に捨てるし、いきなり台所でまないたなしでものを切ります。面白いのは、スポーツジムの浸透具合。学生から社会人まで本当にたくさんの人が利用していました。
スウェーデンの労働環境はかなり日本と異なります。スウェーデン人の多くは、仕事終わりのプライベートをとても大切にしていました。土日や夜は自分の時間、好きなことをやろうという意気込みがあります。そして、簡単に仕事をやめてしまいます。(日本人と比べると)自分にとってより良い仕事があると簡単に移っていました。出会った社会人の方々はみなさまざまな経歴をもっていて、日本式といわれる終身雇用とは無縁でした。ちなみに貯金はあまりしないようです。女性の社会進出も著しく、男女平等である。産休や育児休暇が母親・父親の両方に対して重質しているため、女性にとって仕事がしやすい環境が整っているといえます。私が受けた大学の授業の教授は、7人中5人が女性でした!
そして、スウェーデンには移民が多いです。よって、○○系スウェーデン人という人がとても多い。両親は出身国が違うけれど、自分はスウェーデンで生まれたためスウェーデン人というタイプです。そのため、スウェーデン人は、外国に対して寛容さがあったと思います。
 
② スウェーデンと英語
スウェーデンではもちろんスウェーデン語が話されています。ただ、私が生活で使っていたのはスウェーデン語ではありません。ほとんどが英語です。スウェーデン人は何の問題もなくほとんどの人が英語を話すことができます。世界の英語を母国にしない国の中で英語の能力が高い国ランキング堂々の1位を獲得している国です。高齢の方だと話せない割合が増えますが、若い人は何のことなく英語を話します。理由は多くありますが、大きな要因としては、テレビ番組のほとんどが英語にスウェーデン語字幕だということだと思います。特にアニメやドラマなどはアメリカドラマが大半であり、若い人はそれらを見て育ってきていました。スウェーデンに来ている留学生の大半は、スウェーデンに英語を学びに来ていました。なんでスウェーデンにしたの?という問いに「英語を話す国だから」と答える人も少なくありません。そのため、留学生の中には最初からスウェーデン語の授業は全くとらずに英語のみで留学を終える人も多いのが現状でした。
そんなスウェーデンで、日本に留学経験のあるスウェーデン人が私にいったこと。「僕は日本に行く前に日本語をたくさん勉強した。なんでここにくる留学生はスウェーデン語を勉強してこないの?何もしらないよね。」この言葉を言われたときに、どれだけ失礼なことをしているのだろう、と思いました。英語が話せるスウェーデン人に甘えている私たちに気づきました。 スウェーデンでは、スウェーデン語を話せない時点で、「よそ者」です。他の国も同様ですが、滞在するにあたってその国の言葉は確実に大切にしなくてはならないと実感しました。
 
③ FIKA!
スウェーデンでのお気に入りはもっぱら、FIKA。これは、簡単にいうとお茶をすることです。ただし、FIKAは15時だけのものではありません。朝から晩まで「FIKAしよう!」といえるのだ。なんて便利な言葉!友達になって、また会いたいと思う人にはFIKAしようの一言でまた会うことができます。(スウェーデン人流デートもFIKAからが多いらしい。本当に便利!)
 

≪留学アンケート≫

① おすすめ
・キャンドル。夜が長いスウェーデンでキャンドルは部屋をどことなく温めてくれる重要なものです。友達と部屋でディナーするときにあると雰囲気抜群。ちなみに良い雰囲気のことをスウェーデン語ではMYSIG(COZYに近い)と言って、キャンドルはその雰囲気に必要不可欠!
・ハイキング。自然が多いので色々な場所でできます。 木の実も美味しい。
・港にあるLANGUAGE CAFÉ。そこにいくと、自分の好きな言葉で話すことが出来ました。
・お菓子作り。スウェーデン人と友達になったら、スウェーデンのお菓子を教えてもらうと良いです。だんだん、スウェーデン人の味の好みが見えてくるし、共同作業は仲良くなれます。おすすめはシナモンロールとキャロットケーキ。
 
② 持って行って良かったもの
・日本のおかし、カレーのルー(何かと配れる!カレーは友達につくってあげやすい)
・はし(手に入らないのでフォーク生活を強いられる。プレゼントにも喜ばれる)
・ノートなど筆記用具(スウェーデンでノートを買おうと思うとかなり高い)
・茶道道具(日本文化紹介で大活躍)
 
③ 留学前の必見
・スウェーデンを知るための60章
・スウェーデンのニュースが英語で読めるサイト。便利かつ面白い。
HTTP://WWW.THELOCAL.SE/
 


 

台湾・国立台湾大学・交換留学体験記

 

 ■ なぜ台湾?

当初はより、東南アジアの国々を考えていたのだが、担当教授の助言や両親の意向から台湾という選択肢がでてきました。その中で決め手となったのは、第二外国語で中国語を履修していたことでした。また台湾人が日本人にとても親切なのは何でだろう、といった興味もありました。
 

■ 留学準備~台湾編~

スウェーデンにいる間から申請を始めました。交換留学申請は大学のホームページから可能で、必要書類でスウェーデン滞在中は手に入れられないもの(海外保険の証明、健康診断など)は台湾現地についてから提出ができたので、スムーズでした。またスウェーデンと台湾の間の一か月で留学に必要な事務作業はすべて済ますことができました。
 
① 留学申請時の面接
これは、スウェーデンに行く前に行ったものですが、実はとても苦労しました。台湾に行こうと決めたのは良いものの、私の中国語レベルといえば散々でした。もともとの履修中も落ちこぼれていた(成績は最悪でした)のに加え、第二外国語として勉強していたことはほぼ全て忘れ、自己紹介ができるかも不安なところでした。しかし面接までは時間がなく勉強する余裕はありませんでした。
そこで、面接に向けてやったこと。それは、自分の自己紹介と留学をしたい理由を中国語で丸暗記というものでした。中国語が話すことが出来る友達に頼みこみ、日本語のスクリプトを中国語に訳してもらい、その友達の発音を録音し、ひたすら暗唱しました。
面接当日は、中国語で面接官に何か聞かれてもサッパリわからなかったので、「私の今のレベルでは質疑応答はできません。用意したものを話させてください」と頼み、暗記したことを話しました。予想通り、面接官の先生方の反応は最悪で散々に言われたため、落ちたと思い新たな選択肢を模索しようとしていました。しかし、数日後に結果をメールで読んでみると、なんと!留学を認める由が記してありました。認めてくれた面接官の方々に感謝と同時に、何でもまずはやってみるものだと改めて実感をしました。
 
② 居住許可証(ビザ)
居住許可証は札幌の台北駐日経済文化代表処という場所で申請ができます。必要書類とともに申請すれば、申請を提出した次の日には手に入ります。私のように180日以内の滞在だと、短期停留査証を申請することになるのですが、その査証の中にもシングルエントリーとマルチプルエントリーという種類があるところに注意が必要です。前者は、一度台湾に入国した場合帰国以外で台湾から自由に国外へ行くことができない査証、後者は自由に出入りが可能な査証です。私は申請時よくその仕組みを理解しておらず前者を取得して後悔したので、取得の際は気を付けて欲しいと思います。
 

■ 台湾での生活

① 到着
空港に到着後は、大学が提供する空港お迎えサービスを利用しました。到着してすぐに、なかなか担当者に会えないというトラブルが勃発しました。寮までの行き方を全く調べていなかった私はとても困ったのですが、1時間ほど待ってみると、担当者が悪気なしに「夜ご飯食べていたの~」といいながら現れたのでした。空港では、他の生徒が揃うまでの時間、担当者が携帯電話のSIMカードを購入するのを手伝ってくれました。その後は専用バスで寮まで送ってもらえます。台湾大学は、交換留学生一人ずつに生徒ボランティアを一人つけてくれているのですが、到着時寮では私のボランティアの子が待っていてくれました。私の中国語が十分では無かったため、そのボランティア生徒が入居の手続きを手伝ってくれ、そのまま部屋の家具を買うために大型スーパーへ車で連れていってくれました(彼の父の運転で深夜1時に!)。初日から台湾の人々の親切さにとても驚いて嬉しかったのを覚えています。
到着した次の日は、キャンパスツアーとオリエンテーションでした。必要な情報はそこでほとんど聞くことができ、それから一週間ほどは大学や寮が提供する新留学生向けのイベントが続きました。

vol5_ami_p5大学の入口で

 

② 生活

◇台北
台北は言わずもがな、台湾の首都です。生まれてからこのかた札幌に住み、スウェーデンでもお世辞にも大きいと言われるような街に住んでいなかったため、私に言わせれば大都会でした。本当に“なんでもある”ところです。中心部は高層ビルが立ち並び、有名な駅で降りるとどこも都会。東京に近い場所だと思います。飲食店は小さいものから大きなものまで数えきれないほどあり、「食」は留学最中も大きな楽しみのひとつでした。カラオケ・ボーリング・クラブなど…娯楽にも事欠きません。そして24時間営業のお店も多い。そんな街だから、観光客もとても多いです。これだけ聞くとただの都会ですが、中心部を離れると温泉や山など自然も豊か。農村地帯なんかはとてものどかでした。滞在している時、台北は、新しいものと伝統がとても混在した場所だと感じていました。建物や人を見ていると特にそれは顕著で、ビルやブティック、バーなどが立ち並ぶ新しい建物とオシャレに身を包んだ人々がいる場所と、とてつもなき緩い恰好の人々がいる住宅や個人経営のレストランなどの場所を比べるとその違いに驚きます。
物価は日本と比較すると安く感じます。中心部のレストランなどは日本と同様の値段がしますが、地元密着型はとても安かったです。
 
◇住居
台湾大学が提供する水源太舎の女子寮A棟で暮らしました。トイレシャワーつきの一人部屋で、キッチンはありません。1階ロビーにキッチンはあったのですが、使う機会はありませんでした。シェアキッチン付の一人部屋や二人部屋も選択できましたが、先輩がキッチンはあまり使わないと言っていたことや、好きな時間に好きなことが出来ることを考えて、キッチンなし一人部屋を選択しました。ベッド、冷蔵庫、勉強机、棚など大きな基本的なものは部屋に備え付けてあります。ただ、寝具やシャワーカーテンなどの類は何も無いです。私は、ボランティアの子とホームセンターのような場所で購入しましたが、ロビーからも買うことが出来ます。
私の暮らした水源太舎は13階建てでマンションのような作りで、交換留学生だけでなく、現地の学生も多く住んでいました。住んでいる人数の多さもあり、近所付き合いはほとんどなく挨拶などもあまりしない雰囲気でした。1階には、シェアキッチンや自動販売機、談話スペースなどがあり、wi-fiもあったのでテスト期間中はよくそこで勉強しました。卓球台やビリヤード台、ジムもあり、多くの学生が利用していました。
大学からは、徒歩5~10分くらいの場所にあり、地下鉄公館駅までもそれくらいの時間で行くことが出来ます。寮のすぐ隣にはセブンイレブンが24時間でオープンしていたのでとても重宝しました。大学周辺ということもあり、レストランやカフェの数は数えきれないほどあり、小さな映画館や夜市もあります。必要なものは大学周辺でほとんど手に入るほどの便利さでした。寮から大学と反対側に歩くと大きな川沿いにランニング・サイクリングロード・バスケットコートがあり、運動することもできました。私は購入しなかったが、多くの学生が自転車を購入して行動していました。

vol5_ami_p4寮の玄関

 
◇食事
食事は基本朝昼晩を外食ですましました。ほとんどの学生は外食で自炊はしません。自炊をするのにそろえる材料費の方が安いレストランの食事より高いからです。たいてい台湾料理の店や学食が一番安く、イタリアン日本食など各国料理はそれよりも高い。しかし、毎日台湾料理だとそれはそれで飽きるので、うまく混ぜて食べていました。留学した当初は夜ご飯のとき留学生の友達と色々な夜市をめぐったり、有名なレストランをめぐったり…と食べ物にこだわっていましたが、最終的には毎日のことなので面倒になり、近場で食べていました。朝食は、朝だけオープンする朝食専門店で購入したり、学校で買ったりしました。ペットボトル飲料は日本より安くお得感があります。他にも街を歩けばドリンクスタンドがあり高くないので、頻繁に買って飲みました。こうした食生活の結果、なんと留学期間中に4キロほど増量しました…。
 
◇人々
台湾人は世話焼きでフレンドリー、あっけらかんとしている、他人の目を気にしている人が少ない、というのが私の台湾人への印象です。そして、フレンドリーさは日本人(外国人)に対してとても発揮されていたように思います。見ず知らずの人でも困っている人への親切度がとても高いです。そして仲良くなるととっても色々と気を使ってくれたように思います。そして特に台北でいえるのは、日本人よりもある意味で西洋への憧れが強い気がしました。ライフスタイルや英語への寛容性がそう感じさせることが多かったです。
学生について私が見た限りだと、台湾大学の学生は勤勉な人が多かったです。さすが、台湾でいう東大というべきか、遊びと勉強のオンオフがしっかりしていて、テスト1か月前から勉強を始める友人も多くいました。そして、課外活動がかなり盛んで、ほとんどの友達は何かかにかに参加していました。校内のホールでも毎日のように、各学科やクラブがステージを行っていて面白かったです。
留学生も、スウェーデンで出会った留学生たちとまた少し違っていました。スウェーデンでは、ヨーロッパ系の学生が多く、英語を勉強したいと言っている人も多かったです。しかし、台湾に来ている留学生は、アメリカや中国本土からの学生、また両親が中国人だという他国の人が比較的多く、中国語を勉強しに来ている学生が多かったです。もちろんそうでない学生もいましたが、台湾に来ている留学生たちはアジアに興味をもっている人が多く、日本に興味を持ってくれる人も多くいたのが嬉しかったです。
 

③ 大学と授業

◇大学環境
大学は北海道大学と似ています。銀杏並木のかわりにヤシの木並木、自然に恵まれた広大な大学です。北大のように、自転車で移動する学生がかなり多く、日本統治時代に建てられたこともあり、古い建物も多いです。南国にある大学とあって、建物は外と中のくぎりが曖昧な建物が多く、テラスや中庭なども多い印象です。
校内にはいくつかのコンビニ、マクドナルドなどのファーストフードやカフェ、学食もありとても便利でした。生協のショップでは日用品も販売していたし、郵便局も校内にありました。校内の建物ではほとんどwi-fiが充実しています。図書館はかなり大きく、自習スペースも広いです。日本語の文献も充実していて、参考文献としても使用できるし小説も読むことが出来ると思います。
 
◇ 授業
Taiwan Fiction and Postwar Urban Experience
台湾を描いた小説と小説家を分析することから、過去の台湾の人々の労働・経済状況・文化などを読み解いていく授業です。1学期の間に、選んだ台湾小説について学生は2回のプレゼンテーションが義務付けられていました。毎回の授業は、教授の講義→学生の発表→発表への質疑応答→講義 という形式。教授は学生に対し内容についての感想や関連したことなどの話を毎週ふってくるため、その週の小説を読んで予習することは必須でした。かなり長い長編の小説もあったため、毎週それを読むのはかなり負担できつかったが、内容が面白いのが救いでした。プレゼンテーションは、ほとんどの学生がかなり質の高いものを作り上げてくるため、自分もそれなりのものをつくるのに必死でした。期末試験はなく、自分のプレゼンテーションについてのレポートを2本書きました。レポートの形式に厳しい先生だったので、自分のやり方を見直す良い機会になったと思います。1番苦労した授業。
 
Contemporary China Economy
中国本土の経済についての授業。毎回講義形式で学生に対する質問はゼロでした。 内容はかなり興味深く、中国の詳しい経済体制やその歴史について学ぶことができました。中間試験と期末試験だけの評価で、講義の出席は重視していません。台湾大学の英語を学びたい現地の学生が多く受講していて、留学生は少なめの授業でした。教授は、英語で学ぼうとする学生に対し応援しているという姿勢で、文法ミスは気にせず自分のできる範囲でどんどん記述問題を解いていこう、と初回授業で学生を励ましてくれる良い先生です。
 
Market and Economic Development of Taiwan
台湾の産業や市場について学んでいく授業。教授はアメリカ人で台湾経済を研究し何十年も台湾に住んでいる方。話し方が面白く、雑談もしてくれるおちゃめな教授でした。生徒も多めだったが、全員の名前を必死に覚えてくれていました。(会うたび、Ami?と確認してくる)ただ、授業自体は割とハード。普段は講義形式だが、1学期中に5回のグループワークと2回の記述式テストがありました。グループワークでは、3・4人で教授の出した質問について話し合いグループレポートを書きます。毎回のグループワークの一週前に記事がオンラインにアップロードされ、それを読んでくることが必須。また、話し合うためには内容をしっかり頭にいれなければならなかったので、しっかり読まなければいけなかったです。1回目のグループワーク時、曖昧なままでグループワークにいって何も出来ず悔しい思いをしたので、その後はしっかり要点をまとめてから参加しました。授業内容では、ほぼ毎回日本のことが登場し、多くは日本の統治時代のことだったので、複雑な気持ちにさせられましたが勉強になりました。
 
General Chinese Language Course Elementary
留学生向けに開講している中国語の語学の授業です。毎日朝8時~10時だったので、朝早く起きることになれていない私には本当につらかったです。先生はとても優しくわかりやすく教えてくれて、その先生の授業を通してどんどん中国語が好きになっていきました。クラスの他の留学生もフレンドリーな人が多かったので、行くことが楽しみでした。毎週レッスンテスト、毎回単語テストがありました。基本は教科書にそって、たまにプレゼンテーションなどを行いました。レベル別にクラスが分かれているので、各々自分にあった授業を受けられるようになっていました。私は全く中国語が出来なかったので、基礎クラススタートで学びました。
 

■ 台湾に留学して

◇トラブル
留学中に初めての食中毒を体験しました。旅行で高雄の夜市にいった次の日の夕方、急に腹痛と吐き気に襲われ、トイレから離れなれない状態に。水も薬も飲んでも戻してしまい、深夜をまわっても止まりませんでした。もちろん寝ることができないほどつらく、死ぬかと本気で思っていました。そんな私の状況をしった友人が見かねて病院の夜間緊急窓口まで連れて行ってくれたのは深夜2時ほど。医師に友人が中国語で説明してくれ、そのまま血液検査などを受け診断を受けました。薬なども処方してもらえ、ついに海外保険を使う機会となりました。その後3日ほどは全く固形物が食べられず、部屋に籠ってとてもつらい思いをしました。その間も、友人は果物や食べ物を部屋まで持ってきてくれたのが嬉しく、持つべきものは友だと実感した体験であると同時に、腹痛・吐き気を感じた場合すぐ病院へ行くべきだと学びました。
 
◇日本と台湾
たくさんの留学生に聞かれたことは、日本と台湾は似ているのでしょう?ということでした。海外の非アジア圏に住む人からすれば、とりわけそう見えるようです。国民性は異なりますが、確かに関係性が深く、似ていると感じることはとても多いです。食文化は似ているところもあるし、コンビニやスーパーでは日本商品が数えきれないほど並んでいました。日本のレストランチェーン・ファッションブランド・漫画や雑誌、すべて台北に存在し、日本人が台湾で生活に困ることは全くないだろうと思います。日本語も日本人タレントも頻繁に見かけ、日本語学習をしている人はとても多いです。そして数々の授業で日本の存在が言及されます。またたくさんの場所で日本統治時代の名残を見ました。たくさんの福島という字を掲げた旗も見ました。台湾にいて、日本を意識しないことは不可能なほどに、台湾には日本の影が見えたと思います。
しかし、ここまでの関係があるのに関わらず、国同士での正式な国交がないことにとても違和感を覚えました。日本に帰って感じたのは、日本にいて台湾の存在を感じることは、その逆ほどないということです。台湾が知る日本に比べて、日本が知る台湾の至らなさ・少なさ。このことが、帰ってきた私が一番せつなく思った部分です。こんなにも近しい国へ、これからもう少し目を向ける機会が増えればよいなと思います。
 
◇中国語のできない私と英語ができるようになってきた私
台湾で一番困った問題が、これです。スウェーデンに行っていたこともあり、スムーズに他国の留学生と知り合いになることができました。留学生同士は英語が多く、私は中国語の能力が低かったため、彼らとは最初から英語で話していました。そうすると、その後もずっと英語でのコミュニケーションとなってしまい、周りの台湾人も英語と中国語のミックスで話してくれ、気づいた時には中国語でちゃんとした会話をする機会がとても少なくなっていました。授業も英語で開講するものを取っていたので、そこで知り合う台湾人学生は英語を学びたい人たちが多く、留学生も中国語が苦手な学生が多かったので、必然的にクラスで生まれる会話は英語になっていました。
そんな状況が一か月ほど続き、せっかく来ている国は台湾なのに、中国語を話す機会がどんどん少なくなっていることに私は危機感を覚え始めました。それをどうにかするために、始めたことが二つありました。一つ目は、言語交換。言語交換をするにあたって、自分のレベルが低すぎて申し訳なさが先行してしまい、パートナーを探すのに少し苦労したが、知り合いの台湾人のつてで、パートナーを探してもらったりしました。また、英語で話していた台湾人の学生にも、中国語を話したい由を伝え、出来るだけ中国語を多くして話してもらうようにしました。 二つ目は、店員さんと積極的に会話すること。美容室や服屋さん、飲食店などで、店員さんと会話が続くように積極的に話しました。幸いにも、日本人に対してフレンドリーな台湾人は、よく向こうから話し始めてくれます。そして、彼らは英語ができないことが多かったので、私の拙い中国語を一生懸命聞いてくれました。
この二つを心掛けるようになった後、もっと早い段階でこの二つを始めるべきだったと本当に反省しました。当たり前のことではありますが、自分が勉強したい言語があるなら、始めからその言語を積極的に使っていく必要性があるということを再認識しました。これから非英語圏に行きその言語を学ぶ人は、気を付けて欲しいと思います。中国語が自己紹介くらいしかできなかった私も、5か月後にはなんとか意思疎通ができるようになったのは覚えたてのことをすぐに生活で活用できたことが大きかったと思います。
 


 

≪留学アンケート≫

① おすすめ
・百香果QQ-パッションフルーツの飲み物。ドリンクスタンドで買える甘酸っぱく夏にもぴったりな飲み物。
・南国フルーツ-ライチ、グァバ、マンゴーなどの日本で気軽に買えないフルーツが簡単に購入できるし、美味しいのでおすすめ。
・大学のワッフル-台湾大学には安くておいしいワッフル屋さんがある。焼き立てで種類も多く、朝ごはんに最適です。
・大学周辺のカフェ-wifiがあるカフェがほとんどで、お客さんも数時間居座る人がほとんどなので、気分を変えて勉強するのに最適。日本よりも休めでクーラーもきいて長時間入れるのでよく利用しました。
・ユーバイク-台北にある市民のための共有自転車。登録すると最初の30分は無料で乗ることが出来るのでとても便利です。ほとんどの駅にあって、いつも利用していました。
・台湾ドラマ-出国前に見ておくのがおすすめ。中国語の字幕がついたものが特にお勧め。授業で習ったことなどが出てくると復習になるし、少しでも台湾のことを知る機会が増えます。
・行くべき観光地― 春に墾丁に行われる音楽フェス、太魯閣峡谷の雄大な自然、台中のカラフルな村彩虹眷村、台中の夜市逢甲夜市。
 
② 持って行って良かったもの
・北海道お土産:台湾人は北海道という言葉に反応してくれます。(笑)
 
③  留学前の必見
・青木由香さんの台湾に関しての著書。面白く台湾人や台湾について知ることができます。
・現代台湾を知るための60章
・台湾navi 台湾に関して網羅するホームページ。お世話になりました。
 


 

■ 最後に

二段階留学という選択をしたことに私はとても満足しています。どちらの国に関しても中途半端になってしまう、結局何も学べないのではないか、最低1年はいないと築けないものがある等…この選択に対して微妙な反応はたくさんありました。また、スウェーデンにいる時は、スウェーデンが好きになりすぎてもう台湾に行きたくないなんて思ったこともありました。けれども、二段階留学をしたことで、アジアとヨーロッパという二つの地域を跨ぎ、より多くの人たちと出会い多くの経験をさせてもらうことができました。地域による民族性やそこに集う人々の雰囲気の違いを身をもって感じたことは私にとって大きな糧になりましたし、二度も全くベースのない地域に飛び込むという過程は自分の心を一層強くしたと思っています。何でつらい思いを積極的に二度もしてるのだろう…なんて思ったこともありましたが、その思いや上手くいかない悔しさこそがより自分の成長に繋がりました。また、当初の目的であった、多様な価値観を養いたい、というものも二か国行くことでより達成できたと感じていますし、それは帰国後の生活でも生きています。より多面的な見方をしよう、という意識が働くようにもなりました。
留学に関して、このような選択肢を掲示してくれ新しい境地を開くきっかけをくださった高井先生、協力してくださった国際本部の方々、未熟なわたしを怒ってくださった面接官の方々、面接に協力してくれた友達、もちろんたくさん支えてくれた家族にはとても感謝しています。
 


 
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