スウェーデン王立工科大学 バルセロナ大学 交換留学体験記 経済学科4年入江仰
1.留学先
1段階目
留学先:スウェーデン(ストックホルム) 王立工科大学KTH 産業工学経営学部
期間:2024年8月〜2025年1月
2段階目
留学先:スペイン バルセロナ大学 経済学部
期間:2025年2月〜7月(6ヶ月間)
2.留学の動機
・スウェーデン🇸🇪
高福祉で一人当たりGDPが高い北欧の暮らしぶりに興味を持っており、英語が日常的に使用されている(訛りはあるが)国でもあるため。また少子化対策として2015年に積極的な移民受け入れを行ったのち治安問題などを理由に2022年以降の政権から移民規制、帰国奨励政策を進めており同様に少子高齢化に悩みながら移民政策に対しては消極的な日本や日本の中では移民比率が高い地元浜松で参考になる視点を得れないかと考えたため留学先に選んだ。
・スペイン🇪🇸
料理、芸術、建築など魅力的な場所であり、ヨーロッパ圏の中では一箇所目として留学したスウェーデンと真逆の位置関係であったため北欧と南欧の国の文化の違いを知ることでヨーロッパや2カ国相互文化のさらなる理解ができると考えたため。またスペインは不足した労働力の底上げとして統合を重視しながら移民が促進され人口に対しての移民比率が大きく(外国籍13.4%、外国出生18.2%)移民増加と治安悪化の相関が確認されていない点で移民政策に成功したと言える国であるためスウェーデンに引き続き移民政策についての知見を得る上で重要な国であると考えに段階目の留学先として選んだ。
3.費用
・スウェーデン🇸🇪
航空券往復 25万円
保険料 8万円
教科書代 2万円
住居費:78万円(13万円/月)
食費:30万円(5万円/月)
交際費:24万円(4万円/月)
合計:157万円程
奨学金:84万円(14万円/月)フロンティア基金+新渡戸カレッジ奨学金
・スペイン🇪🇸
渡航費:20万円(往復飛行機代)
家賃:48万円(8万円/月)
食費:24万円(4万円/月)
交際費:24万円(4万円/月)
交通費:1万円(5千円/3ヶ月)
保険料:8万円
合計:125万円程
奨学金:108万円(18万円/月)J ASSO奨学金+新渡戸カレッジ奨学金
渡航費:20万円(往復飛行機代)
家賃:48万円(8万円/月)
食費:24万円(4万円/月)
交際費:24万円(4万円/月)
交通費:1万円(5千円/3ヶ月)
合計:117万円程
4.準備スケジュール
・スウェーデン🇸🇪
2023年10月頃 IELTs受験、KTH交換留学申請
2024年1月 審査通過
2024年4月 国際交流科目で英語の授業を二つ履修
2024年6月 在留届の申請
2024年8月 出国、最初の二週間はお金と家がない
2024年9月 移民局で在留カード取得
2024年10月 1st term 終了、イギリス留学中の友達とイタリア、ミラノへ
2024年11月 旅行、ストックホルムでオーロラ目撃
2024年12月 北極圏へ、シュールストレミングを食べる、2nd term 終了
2025年1月 帰国
・スペイン🇪🇸
2024年4月 IELTs受験、スペイン交換留学申請
2024年9月頃 審査通過
2025年1月 スウェーデンにて学生VISA申請、一時帰国
2025年2月初旬 バルセロナに渡航、スウェーデンの友達が観光にやってくる
2025年2月末 スウェーデンにてVISA受け取り
2025年4月 イースター休みの長さに驚く
2025年6月 学期が終了、旅行
2025年7月 再テストを受けて帰国
5. 1週間の時間割(授業と課外活動)
4つのコースを履修し、それぞれのコースが週2コマ、合計週8コマを履修した。1コマ2時間で最も早い時間は二限の10時から遅い時間は五限の20時までであった。昼食は大学周りのパン屋(スペインはパンとハムやチョリソーなどの加工肉が大変おいしい)やフランクフルト屋さんどちらも6〜8€で済ませることが多かった。また経済学部キャンパスから徒歩10分ほどの場所に位置する大学スポーツジムを6ヶ月間120€で契約し授業の合間や終わった後に通った。
・スペイン🇪🇸
4つのコースを履修し、それぞれのコースが週2コマ、合計週8コマを履修した。1コマ2時間で最も早い時間は二限の10時から遅い時間は五限の20時までであった。昼食は大学周りのパン屋(スペインはパンとハムやチョリソーなどの加工肉が大変おいしい)やフランクフルト屋さんどちらも6〜8€で済ませることが多かった。また経済学部キャンパスから徒歩10分ほどの場所に位置する大学スポーツジムを6ヶ月間120€で契約し授業の合間や終わった後に通った。
6.授業
・スウェーデン🇸🇪
・Swedish A1 for engineer :言語だけに限らず言語を通してスウェーデンの文化を学べたことや、学んだ内容をすぐ日常生活で生かす事ができたのでモチベーションを保ちながら授業に参加できた。また先生が個性的で授業そのものもとても面白かった。
・Industrial Management :マネジメント分野の勉強がたいへんだった。内容よりも言語の壁が大きく学習内容を計算や数字ではなく文章で説明することが困難だった。
・Intercultural competence, Global competence :この二つの授業は同じジャンルで、この二つの授業の履修と国外の課外活動を行うとGlobal Conpetence Certificationを発行してもらえる。授業の内容としては、多文化グループでのチームワークや相互理解について学んだ。
・スペイン🇪🇸
・European Integration(欧州統合):欧州の市場と歴史に関する授業。国や連合形態ごとの市場規制や物流の障壁について分析する授業だった。学生の議論を重んじる先生で生徒に質問を投げかけては授業から脱線することもしばしばだった。
・Culture and Business in Europe and Other Western Countries(ヨーロッパの文化と仕事):国や地域ごとの特性がどのような影響を選好やビジネスに与えるかを学習した。
経済学というよりも心理学と似通った内容の授業になることも多く、ヨーロッパ人の地域性や文化を構造的に学ぶことができた。
・Objectives and Instruments of Economic Policy(政策の目的と手段):政策目標を階層的に学び、マクロ視点でさまざまな経済課題に対する政策やそのメカニズムについて歴史も交えながら学んだ。
・Economic International Organization(国際経済機関):国際経済機関の歴史と役割について二人の先生にオムニバス形式で教わった。政策の授業と重複する点もあったが国際機関ベースの視点から世界規模の政策や意義について学んだ。
これらの授業は自分の語学力不足もありプレゼンやエッセイテストの際は苦労したが、時には友人の助けを借りながら履修した。バルセロナ大学はいい意味で経済らしくない授業も揃っており、海外留学先として大変いい選択肢であった。
AIについて
どちらの留学先でもA Iの使用について厳しく制限されることはなかった。ある程度の倫理観を持って効果的にAIを使用して授業の助けとすることを肯定されているように感じた。しかし一部の生徒、特にスペインではAIをテストのカンニングに使っている人を何度も見かけた。
7.課外活動・友人
・スウェーデン🇸🇪
スウェーデンでは日本人も多く困った時に頼れる安心感があった、日本人とも仲良くなって後に北極圏までオーロラを見にいく事もあった(曇りで何も見えなかった)。日本人以外では日本が好きなスウェーデン人や正規留学の中国人、中華系2世のスウェーデン人と仲良くなった。のちのスペインではみんなで楽しく遊ぶことが多かったがスウェーデンでは二人っきりでご飯に行ったり遊んだりすることが多かった。スウェーデン人には日本の料理(角煮、カレー)の作り方をおしえて一緒に作る機会もあった。
・スペイン🇪🇸
最初のオリエンテーションでポルトガル人、インド育ちのスペイン人、香港人、ドイツ人と知り合った。休日などを過ごしていくうちに新しい個性的な友人も増えていった。バルセロナはヨーロッパの中でもクラブ文化で有名で数多くのナイトクラブがあった。毎日どこかでクラブにフリーエントリーがあり時々学生向けにフリードリンクやディナーがあったのでよく友人と一緒に遊びにいった。流れる音楽が知らないものばかりだったので私にとってクラブ自体はそこまで楽しいものではなかったが、友人と遊ぶことやいろんな人に出会える環境としては大変面白かった。エラスムスの学生団体に参加すれば小さなイベントから団体での海外旅行など多くの課外活動に参加できる機会がある。
友人達↓
8.住居・食事・事件
・スウェーデン🇸🇪
住居
寮で1ヶ月88,000kr日本円で12~13万円キャンパス内なので徒歩5分程度で教室に着き、1人用の部屋で値段相応にセキュリティ、清潔さ、設備が整っており1人には勿体無いほどであった。値段的におすすめはし難いが、広く大学内にあるので頻繁に友人を呼んでパーティできたのが楽しかった。
食事
外食は法外に高いので基本的に自炊でリゾットやパスタを作って食べていた。日本人の友人に料理が好きな子がいたので食材の情報交換や、自炊のモチベーションアップになった。基本的に外食は美味しくないのですが、中央駅近くのHAPPYLAMPという中華系の火鍋屋さんが美味しく、よく足を運んだ。値段面で言うとお腹いっぱい食べる人が少ないのか食べ放題形式のレストランが単品注文形式に比べて圧倒的にコスパが良かった。
事件
スウェーデンは最近移民が社会問題化しているらしく、時折郊外で発砲事件があったり、コーラン焼き討ち集会があったりした。生活していてそういった危険を感じたことはなく、席取りに荷物を置いて置けるほど治安はよかった。(知り合いの日本人が地下鉄でスリにあったことはある)。個人的な事件としては自分の勘違いと準備不足で始めの二週間を金欠と泊まるところがない状態で過ごしたことで、安いドミトリーを求めて移動しながら大学の授業に出席し、時には安宿でトコジラミに刺された事もあった。振り返ってみると見知らぬ土地で不安は大きかったが、遠慮せずに人に助けを求めたり、相部屋の人たちと一期一会の時間を過ごすことができたことは大変有意義であったように思う。
・スペイン🇪🇸
住居
家賃は月8万円ほどでエアコン付きの大学から電車で40分ほどのアパートで三人の他の学生と一緒に暮らした。大学からの距離は少し遠かったがスーパーからの距離や治安など大変住み良い環境だった。フラットメイトも優しくて気のいい人ばかりで特にトラブルもなく快適に過ごすことができた。
食事
物価が高いので基本的に自炊か一つ5€のケバブを主に食べることが多かった。キッチンに器具がかなり揃っていたので自炊にも少しハマっていた。スウェーデンで知った角煮や、ハンバーグ、お好み焼き、イカ墨パスタなど食費を節約しながら楽しく料理をしていた。うさぎ肉(スペインでは一般的)にも挑戦したが調理法がよくわからず失敗したこともあった。
事件
バルセロナは治安があまりよくないことで有名で、ビーチや地下鉄では常に置き引きやすりに注意を呼びかける放送が流れていた。私が直接被害にあったことはなかったが友人にはビーチで置き引きにあった人一人とクラブでスリにあった人が二人いた。警察沙汰に巻き込まれることもしばしばあったが基本的に注意を払って生活するか郊外まで離れれば危険なことに巻き込まれることはないと感じた。バーでアルコール中毒者に絡まれたり仲良くなって薬を勧められたりすることもあったが悪意を持って近づいてくる人間には出会わなかった。個人的にはバルセロナ滞在中に2回犬の糞を踏んだことがショックだった。
9.地域の言語について
・スェーデン🇸🇪
スウェーデンにはスウェーデン語があり基本的にスウェーデン語が話されていた。しかしほぼ全ての人々が流暢に英語が話せ、コミュニケーションに不自由することはなかった。スウェーデン人の友人は英語が生活に入りすぎてしまい、スウェーデン語と英語を混ぜたような言葉が日常的に使われることで本来のスウェーデン語が失われてしまうことに対して忌避感を持っていた。
・スペイン🇪🇸
スペインでは基本的にほとんどの人が簡単な英語しか話せず、時々商品の注文も身振り手振りで行う必要があった。バルセロナではスペイン語とは別にカタルーニャ語も多く話されており、カタルーニャ自治区の旗も街の至る所に掲げられているのを見かけた。しかし見るからに外国人である私が簡単なスペイン語でコミュニケーションをとってもそれが原因でトラブルになることはなかった。入居初日にオーナーにスペイン語でアディオスと挨拶した時に「わたしたちはアデオ(カタルーニャ語)と言うんだよ。」と教えてもらった事もあった。
10.移民について
・スェーデン🇸🇪
スウェーデンでは移民らしき人としてはアフリカ系、イスラム系の移民をよく目にした。あくまで見かけた範囲であるが多くの移民の方々は駅員や清掃員、工事など肉体的労働に従事していることが多かった。ドミトリーで相部屋だったアフリカ出身(エリトリア)の男性は自信がしているスーパーの店員という仕事に対して「この仕事は好きだけど誰でもできる仕事だ、俺じゃなくてもいい。だからちゃんと勉強していい仕事に就きなさい」といっていた。移民には高付加価値サービスやホワイトカラーの仕事には就きにくい現状があるのだと感じた。
またスウェーデン人の友人によると、都市と田舎は治安が良い一方、都市周辺のドーナッツ型の郊外地域で治安が悪く、主に移民系2世などの若者がギャングとなっているらしい。実際私が滞在中に郊外で2回ほど銃撃事件があり、死傷者も出た。また最近では「snabba cash」というギャングに焦点を当てた映画などが若者に人気であることも若者のギャング化を助長しているかもしれないとのことだった。移民規制やコーラン焼き討ち集会からも分かる通り、スウェーデンは政府も国民もかつての移民拡大路線の恩恵は理解しつつも現在の移民問題には大きな危機感を持っているように感じた。
・スペイン🇪🇸
スペイン・バルセロナでは多くの移民、外国籍の労働者を見かけたが社会的問題にはなっていないように思えた。日常生活ではアフリカ系の移民は資源ごみの転売や駅構内での違法なユニフォームの販売、ビーチでのモヒート売りなどをしているのをよく見かけた。「観光・サービスから高付加価値サービスへのシフトと並行し、移民流入が労働供給を拡大」というニュースを見たことがあるが、そういった場所で移民らしき人(移民とわからないだけかもしれないが)を見ることはなかった。インドやパキスタン系の移民は小さなスーパーマーケット(コンビニみたいなもの)やケバブ屋を営んでいることが多く人種ごとに職種の分布が異なるのも興味深かった。
上記の移民の方々は皆スペイン語またはカタルーニャ語を話しスペイン・カタルーニャ文化に統合されて生活しているように感じた。実際わたしも行きつけの移民系スーパーマーケットの店員である友人から現地の言葉を教わることもあった(上写真の赤い服を着ている人)。また彼は現在、留学のための手続きをしながらお金を貯めているようだった。スペインが生活をする場としてのゴールではなく新しい場所へ行くための出発点となっており、その環境が整っていることにも驚いた。バルセロナはストックホルムよりも確実に治安が悪く、人種ごとに職種のばらつきも確かにある。が、移民を問題として捉えずに移民との融合に成功しているように感じた。その違いは何なのかが疑問に残った。
11.まとめ
・スウェーデンとスペインの留学を通して
スウェーデンでは高福祉の国のイメージ通り設備投資が活発であるように感じた。学校の中庭では芝生用の掃除ロボットが稼働し、移民局のID発行時には何十台もの機会が半自動で本人確認と証明写真の撮影が行われ、日常生活の決済は全てカードが使われ現金が使用できない場所も珍しくなかった(物乞いもQRコードで行われていた)。スウェーデンでの留学では目に映るものすべてが目新しく一気に交友関係と自分の行動範囲が広がる経験をした。そうした中で変化に寛容であること、変化を楽しむことを学べた。
スペインの留学では交流に重きを置いて生活をした。交友関係としては同じく交換留学できたスペイン以外の国の人が多かったが多種多様な人種グループだからこそバルセロナのいろんな場所に遊びに出ることができた。そうした交流の中で生まれた経験こそが今回の留学の成果であったように思う。語学力に関しては非母国語同士の日常生活程度であれば問題なく話せる程度にスピーキングとリスニングは向上したが、新しいインプットをほとんど行わなかったためリーディングとライティングはあまり上達しなかった。
一箇所目のストックホルムでは寒冷な気候と洗練された街並みに少しシャイな優しい人々といった印象を受けたが、バルセロナでは乾燥した温暖な気候に開放的な人々と多文化共生社会を感じた。どちらが良い悪いで語れないほどに二つの社会に親しめたことはニ段階留学の醍醐味であると思う。






























