スウェーデン ヨーテボリ大学経済学部(部局間交換留学)体験記 経済学部4年 Kazuma
1.留学先・期間
留学先:スウェーデン ヨーテボリ大学経済学部(部局間交換留学)
期間:2025年9月~2026年1月
2.はじめに
この半年間のスウェーデン留学は、私にとって「食」と「文化」の違いを強く実感する経験となった。北欧といえば豊かな福祉や高い生活水準が注目されがちだが、実際に暮らしてみると日本とは違った価値観にたくさん見つかった。この体験記を通じて、スウェーデン留学のリアルが少しでも伝わることを願っている。
3.志望動機(とそこに至るまで)
正直なところ、私は以前から漠然と英語圏への留学に憧れを持っており、「留学するなら英語圏」と考えていた。しかし準備に出遅れてしまい、気づいた時には応募期限が目前に迫っていた。急いでTOEFL-iBTを受験したものの、志望していた英語圏の大学に出願できる水準には届かず、進路を見直す必要に迫られた。そこで着目したのが、国民の多くが英語を話すスウェーデンである。ちょうど経済学部間の交換留学制度があり、自身のスコアでも応募可能であったことから、ヨーテボリ大学への留学を決意した。加えて、スウェーデンはサステナビリティ先進国として知られており、その考え方を学ぶことで、日本食をより持続可能な形で海外に広げるヒントが得られるのではないかと考えた点も、大きな理由の一つである。このようにして、当初の想定とは異なる形で決まったスウェーデン留学であったが、結果的には自分の視野を大きく広げる経験となった。
4.費用
航空券 往復20万円弱(約2か月前に予約、乗り換えはそれぞれ1回)
保険料 4万円弱(ヨーテボリ大による謎の無料の保険+JTAS)
家賃 月11万~12万円(円安により値上がり)
食費 月3万円
交際費 月3万円
合計 約115万円
奨学金月11万円(JASSOのみ)
5.準備スケジュール
2年10月 学部から応募書類を送ってもらう
2年11月 TOEFL-iBT受験&学部への書類提出締め切り
2年3月 学部内の審査通過
3年6月 受講予定科目、居住許可の申請
3年8月末 スウェーデンへ
6.1週間の時間割(授業と課外活動)
週2~3・1回3時間で授業があり、それ以外の時間はグループメンバーと集まって授業のディスカッションや課題(レポートやプレゼンの準備)、学校の図書館で自習、友人と出かける、ビーチバレー、ジムでトレーニング、学校のパブに飲みに行くなどしていた。
7.授業
全体的にコースの前半は先生による理論や概念の解説が主であり、後半に自らで設定したテーマを基にグループプレゼンをするという内容だった。
Economic Geography: Regional Development
産業が特定の地域に集まる理由や、国ごとに異なる貿易の仕組み、人口や資源の分布が経済に与える影響について学んだ。授業内でSKFというベアリング業界でトップクラスのシェアを誇る企業を見学し、ヨーテボリという一地域の発展を講義内容とリンクさせながら落とし込むことができた。
Economic Geography: Global Production Networks
多国籍企業がどのように国境を越えて生産や販売を行っているのについて学んだ。プレゼンは、世界のある地域で企業活動がどのように展開されているのかを、貿易統計や海外直接投資(FDI)のデータを用いて分析するという内容であった。成績は悪くなかったが、完全に年下のスウェーデン人2人のフォローのおかげであった。ありがとう。
The Swedish Model in the Labour Market
戦後のスウェーデンの労働市場制度について学んだ。低い失業率や女性活躍の秘訣を知ることができて内容的には楽しかったが、まるで知らない協定や地名が頻繁に出てきたため毎回調べねばならず、授業内容を追いかけるのに苦労していた。
Economic Geography: Sustainability Transitions and the Circular Economy
地域におけるイノベーションと持続可能な発展について学んだ。授業内で取り上げられる例がスウェーデン内のものばかりで、いかにサステナビリティを重視した経済を意識し取り組んでいるかが伝わってくる内容であった。この授業の最後のテストにおいて私はパスポートを持参し忘れ、テストが受けられずに単位を落としてしまった。帰国直前になってパスポートを常に携帯することを肝に銘じた。
8.課外活動・友人
ヨーテボリ大学のSchool of Business, Economics and LawにはIntUという留学生のための学生団体があり、定期的にイベントを企画してくれる。学期の最初の2週間は Welcome Weekと銘打って毎日のようにイベントを開催していたので、ひたすらそれに参加していた。そこで留学生と現地学生の両方と友達になり、イベント外でもよく遊びに行っていた。
後に述べるが、私の寮は日本で言う賃貸アパートのようなところであったので、まったくと言っていいほど友人ができなかった。そこで、留学生の大部分が住んでいたOlofshöjdという寮にあったCafé Olofという交流スペースに通い、そこで留学生とボードゲームなどを楽しんでいた。
留学生活が半分ほど経過してから参加した団体が、ビーチバレーチームである。学校公式の団体ではない(たぶん)ため、Facebookにしか情報がなく、友人に教えてもらって参加することにした。週2回の開催で毎回参加者を募集する形だったので、メンバーは固定ではなかったものの、よく参加するメンバーと仲良くなり、バレー終わりによく飲みに行っていた。ここでやるビーチバレーがとても楽しく、留学初期から参加できなかったことが非常に悔やまれた。

9.現地生活
・住居
このスウェーデン留学を通して一つ後悔を挙げるとするならば、寮選びである。留学前にSGSという学生寮を管理している会社がメールで申し込みフォームを送ってくるのだが、私はそのメールをあまりちゃんと読んでおらず、寮選びが先着順であることを知らなかった。1週間ほどそのメールを放置していたら、人気の寮はすでに埋まってしまっていた。私が選んだ寮は、留学生が住んでいたアパートの中でも一番中心地から遠い所であった。それゆえに留学生の数も少なく、共用部分がランドリーとジムぐらいしかなかったため、隣人とすらまともに話すことはなかった。(その上家賃も高額)先に書いたように、留学生の大部分は街の中心地のOlofshöjdという寮とその近辺に住んでおり、ここはキッチンや共用スペースがたくさんあった。私的には共用キッチンでみんなが自分の国の料理を作り合っていたのが羨ましかった。これからヨーテボリ大学に留学する人はぜひ、Olofshöjdに住むことをおすすめする。
・食事
私は元来、食べることに並々ならぬ情熱を注いでいるのだが、そんな私にとってこのスウェーデン留学における食事はかなりのカルチャーショックであったと言える。まず、いわゆるスウェーデン料理と呼ばれるものだが、IKEAのフードコートを想像してもらえればわかるだろう。ミートボールと魚のフライぐらいしかないのだ。(現地の友人も認めていた)そのため、スウェーデンでは2、3回しか外食をしていない。その代わり、タコフライデーと言って毎週金曜日にタコスを食べる家庭が多くあったり、ケバブ屋がそこらにあったりと、他の国からの食文化を取り入れて根付かせていた。ただ、その中でも特に気に入ったスウェーデンの美味しい食べ物を軽く紹介しよう。1つ目が、Kanelbulleである。日本で言うところのシナモンロールで、甘みの強いお菓子が有名なスウェーデンの中でも甘さが控えめで、カルダモンの香りが食欲をそそってくる。スーパーのパンコーナーに必ず置いてあるので、ぜひ食べてほしい。2つ目が、Pepparkakorだ。スパイス感強めのジンジャークッキーで、クリスマスの定番である。Glöggというホットワインとの食べ合わせが最高にいい。そして3つ目が養殖サーモンである。フィッシュマーケットに行くと生でも食べられる新鮮なサーモンが置いてあり、砂糖と塩、ディルなどのハーブでマリネする食べ方がイチオシだ。日本では生サーモンを食べる機会は少ないと思うので、スウェーデンに行ったら食べることをオススメする。
そして、長い間海外で生活する上で欠かせないのが日本食だろう。ヨーテボリには日本食・寿司レストランが乱立しているが、「日本食風」なものも多い。アボカド寿司や不思議な味付けのカリフォルニアロールなど、日本ではそんなに馴染みのない「日本食」がたくさんあるので試してみるのも面白いだろう。だが、期待はしない方がいい。日本食が食べたいならSaigonというアジアンスーパーで食材を買って自分で作るのが一番だ。私が留学生に振る舞った寿司は「今まで食べた日本食の中で一番旨かった」と大好評だった。健康志向のスウェーデンではかなり日本食が愛されているようだ。
あともう一つ。スウェーデンに行ったらぜひ、Surströmmingにチャレンジしてみてほしい。日本でも世界一臭い食べ物で有名だろうが、実際現地の友達は誰も食べたことがないらしく、日常的に食べる人はそういないらしい。感想としては、文章にするとあまりに汚い言葉が並びそうなのでやめておくが、くさやとは比にならない臭いで、2切れでギブアップした。
・驚いたこと
半年のスウェーデン留学を通して日本との違いに驚かされてばかりだった。まず、授業料が大学まで無料なことである。スウェーデンは教育先進国としても知られているように、小学校から完全無料である。そのため、大人の学び直しにも寛容で、クラスメイトには60代ぐらいのおばあちゃんも混ざっていた。
また、私がスウェーデンに行く理由の一つになった英語話者の多さについてだが、私が予想していた以上であった。現地でスウェーデン語を喋らなくても一生暮らしていけそうと思うぐらい、老若男女問わず英語を話していた。これについて友人に尋ねてみたところ、幼少期から英語圏(とくにアメリカ)のコンテンツに触れることが非常に多いからだそうだ。一方で今の若者にはスウェーデン語があまり喋れない人もいるらしく、問題になっているらしい。

10.まとめ
まだまだ書きたいことは無限にあるのだが、長ったらしくなってしまうのでこの辺で終わりにしようと思う。この半年間は私にとって、初めての長期の海外生活であり、慣れないことだらけだった。しかしながら、得たものはそれ以上に多く、特にたくさんの友人ができたこと、日本から離れて外から俯瞰して見ることができたことは何にも代えがたいものであった。「また会おうね」と約束した友人に会いに行く楽しみもできた。
海外留学はとてもハードルが高いものだと考えている人もいるだろう。しかし、たとえ語学が堪能じゃなかったとしても、まずは思い切って飛び込んでみることが一番だと思う。チャレンジしてみたら意外と何とかなるものである。この留学体験記が、少しでも今後留学を考えている人の助けになればいいと願っている。