カナダ アルバータ大学 交換留学 (安田 Vol .5)

アメリカ・オセアニア

文学部人文科学学科4年 安田悠杜

留学先

アルバータ大学

留学の動機

進んだ心理学を勉強するため

期間

2013年9月〜2014年4月

費用

航空券 20万円、生活費 100万円、旅行費 10万円、レート 1ドル=約100円

 

1週間のスケジュール

土日
AM 性格の授業、復習 復習、テスト、勉強、課題 性格の授業、復習 復習、テスト、勉強、課題 性格の授業、復習 課題
PM 行動変容の授業、ストレスとその対処の授業 近くの授業、復習 行動変容の授業、復習 知覚の授業、復習  行動変容の授業、ラボミーティング 予習、復習

 

留学前のスケジュール

留学後のスケジュール

2012年6月 TOEFL受験(64)
8月 TOEFL受験(61)
12月 交換留学面接
2013年2月 TOEFL受験(81)
4月 諸々の準備(航空券の購入、ホステルの予約など)
8月 出発
2014年4月 帰国
7月 IELTS受験(6.5)
9月サッカー指導再開
10月 IELTS受験(7.0)
11月 願書提出
11月イギリスの大学院合格
2015年9月 出発

 


大学に入学したときの私は、留学する気は全くありませんでした。その考えが変わる契機となったのが、「心理学は北米の方が発展している」という教授からの言葉でした。大学生活の中でサッカー界と心理学界での人脈作りはひとつの重要なキーポイントだと思っていたので、学部を問わず面白いなとおもった教授には、質問にいったり話を聞いたりしていました。その先生方が異口同音におっしゃっていたのがこの言葉でした。当時(現在もそうですが)、サッカーと心理学に興味のあった私は、高校までサッカーをしていて体育系だったこともあり、興味を突き詰める傾向にあったので、より発展している心理学とはどんなものなのか触れて見たいという気持ちから、留学を決めました。
ただ、高校時代は授業を爆睡してサッカーのために生きてきた人間が英語のテストで規定点をとることは大変でした。それに加え、当時は海外の大学院に行くことを視野にいれていて大学の授業でいい成績をとらなければならず、サッカー指導もしていたので、様々なことを平行していました。結局、TOEFLで規定点をとるのに1年かかりました。規定点をとったのも〆切ぎりぎり(実際のところ過ぎていた)でした。面接の時はハワイ大学に行く予定だったのですが、TOEFLの点数が上がったこともあり、河野さんに頼んでアルバータ大学に行くことが決まりました。河野さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
そんな中で留学が決まってから、気がついたことがありました。それは受動的になっていたことです。私は個人的に交換留学が海外初だったこともあり、ビザの取り方や携帯をどうするか等、周りがいうがままにしてきました。もうひとつ気がついたことがありました。それは、ビザの取り方ひとつをとっても、国よっていろいろ違うということです。だから、きっと留学生活も自分の行動次第で変わるだろうと考えるようになりました。
そこで、留学前に自分が留学中にすべき行動を決めました。それは以下の4つです。
・進んだ心理学に触れること。
・海外の大学院でやっていくだけの英語力をつけること。
・カナダサッカーと日本サッカーを比較すること。
・海外の大学の教授との人脈をつくること。

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英会話を相手してくれたラボメンバーとの一枚。とても優しくて、感謝してもしきれません。

 


実際、これらのことは、ほとんど達成することができました。
まず1つ目は、3年生か2年生がとる授業をとって、現地の心理学についていきました。実際、日本の大学とはひと味、いや四味、五味も違う授業、生徒、教授に会うことができました。分厚い教科書、週100〜200ページの予習、多くの課題、テスト、プレゼン、グループワーク…。何より授業形態が1周りも2周りも進んでいると感じました。だからこそ、自分のやる気も刺激されて、実際、アルバータ大学では北大の成績よりもよい成績をとることができました。これがまた、後にイギリスの大学院進学にポジティブな影響を与えてくれたので、よかったなと思います。
そして2つ目の英語力。これは後述するとある教授のラボの生徒の1人に頼んで、週1回英会話を頼みました。あとは、エクストラでお金を払って、発音の授業をとりました。そしてyoutubeで洋楽を歌いまくりました。単語に関しては教科書に出てき単語をノートに書いて、昼の食事の時間に見まくりました。結果的にイギリスの大学院に行けるだけのIELTSのスコアをとることができたので、方法は間違っていなかったのかなと思います。
3つ目に、カナダサッカーと日本サッカーを比較すること。なぜ最初に「ほとんど達成することができた」と書いたかというと、この第3点があまり達成できなかったからです。本当は大学が保持しているサッカーアカデミーにコーチとして参加しようと思ったのですが、サッカー界はコネクション社会ということもあって、指導資格や審判資格、指導経験があっても日本からきた誰かもわからない交換留学生を受け入れるほど、簡単に入れる社会ではなかったです。なので最低限、スタジアムの上で練習風景を観察して、得られるものは得るようにしました。あとは女子カナダ代表対女子韓国代表の試合も見に行きました。
4つ目に、海外の大学の教授と人脈を作ること。これは、留学前に心理学部に日本人教授がアルバータ大学に在籍していることを知っていたので、まずはその教授に挨拶しにいきました。そうしたところ、幸運にも、研究を手伝ってくれる日本人を探していらして、留学の最初から最後までその教授のラボに参加して、教授自身の研究や、その院生の研究を手伝っていました。実際、海外の大学院生活を直に感じることができたという意味で非常に有意義な時間を過ごすことができました。また、カナダという縁もゆかりもない地で、このようなコミュニティに所属していたからこそ、寂しさやホームシックを感じることなく過ごせたのかなと思います。

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カナダ対韓国。サポーターはいないが、良いプレーに拍手をする観客は冷静に試合を見ていると感じた。

 


という訳で、留学前にたてた目標に従って、いろいろと行動して、概して達成することができて、心理学を勉強する者として、サッカーに関わる者として、そしてなにより人として自分の22年間の中で一番成長した期間だったと自信をもっていうことができます。
そして今後に関してですが、自分の興味であるスポーツと心理学を掛け合わせたスポーツ心理学を極めるためにイギリスの大学院に進学することになりました。すでにイギリスでやりたいことは複数イメージしているのですが、そのひとつとしてインターンシップを利用して、発展途上国でサッカー指導をしたり、プレミアリーグとの関わりを持てたりできればいいかなと思っています。海外で就活することも視野に入れています。また最近では、スポーツのポテンシャルはまだ引き出すことができるのではないかと思い、発展途上国でサッカーを指導してその国を元気にすることも面白い取り組みだと考え、国連の活動もチェックしたりしています。

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移民が多いことを利用して、新年にワールドカップinエドモントンを主催。半分ほどが知らない人だが、面白さを優先してきてくれるのがカナダ人の良いところだと感じます。

 


ここで気をつけていることは、23歳では人として未熟であると自覚することです。僕みたいにすくすくと日本のシステムにそって育ってきた普通の人が、23歳で人生を知ることはできないと思っています。だから、まずはいろいろやってみて、これだ!と思ったことに取り組んでいけたらと思います。親には良い迷惑ですが、だからこそ先についてはまだわかりません。ただ、自分にとってこれは面白い、これは面白くないという基準は常にもうけています。その自分の興味にプラスして、現代社会から推測して将来の社会は何を求めているのか、そしてむしろ変化する社会の中で変化しない部分は何なのかを考慮した職につければ、これほど幸せなことはないと思っています。


最後にひとつだけ、留学について言いいたいことを言って終わろうと思います。それは留学する理由を外部にもってはいけないということです。個人的に、「グローバル化」という言葉が一人歩きしているように感じます。グローバルな時代だから留学しておいた方が良いだろうとか、海外にいけば自分のステータスになるだろうとか、グローバル化の恩恵として国際交流したいとかいう、自分の内部ではない理由で留学、特に交換留学をすることに危険を感じます。それでは、何か失敗したときに言い訳でできてしまいますし、結果的に後悔することになると思います。例えば、交換留学したのに英語の授業に全然ついていけないとき。その科目を学びたいと思ってきた人ならばそこで踏ん張る力があるでしょうが、そうでない人は大学がグローバル社会を推したから留学したのに…と言い訳を作れてしまうと思うのです。だから、留学はひとつの方法であって、目的になってはいけないと思います。
特に、グローバル化の良い面だと思うのですが、自分のしたいことはわざわざ留学しなくてもできる時代になっていると思います。例えば、海外の有名大学の授業はネットで受けることができます。大学時代から投資をしたり、起業したりしてお金を儲けることもできます。有名な教授であれば日本に講演にくるかもしれません。そこでアタックして、自分を売ればなにかが変わるかもしれない。なにも交換留学ではなく、ワーキング・ホリデーの方が自分に合っているかもしれない。
だから、いろいろなことを知って経験して、交換留学のいい面と悪い面を吟味しながら、自分が面白いなと思うこと、その延長線上に留学が必要だと感じれば、実りある留学生活が待っていると思います。情報社会だからこそ、その情報を自分のフィルターを通して抑制して、自分がどう考えるか、どう感じるかを優先することが重要なのかなと、23歳の時点では思います。


 

3.アンケート

・おすすめ(ガイドブックにないスポット、観光地、店、お気に入りの場所、食事 etc): 北米最大といわれている?West Edmonton Mall、バンクーバー、プーティンというカナダの食べ物
・マナーやタブー: 特にありません。移民が多く、みんないろいろな面で寛容で優しいです。
・持っていって良かったもの(重宝したもの、喜ばれた日本のもの、ウケた特技): 特にありません。
・留学前の必見本 or webサイト: 大学のホームページ


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